住友ゴム 山本社長「売上収益が1兆円を超えるのは初めてだが減益に」…2022年12月期見通し

住友ゴム工業の山本悟社長
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住友ゴム工業が2月9日に発表した2021年12月期の連結決算は、売上高に相当する売上収益が前期比18.4%増の9360億円、事業利益が同19.8%増の519億円、営業利益が同27.0%増の491億円、当期純利益が同30.4%増の294億円だった。

「当社を取り巻く環境は、為替の円安による輸出環境が改善したことに加え、欧米をはじめ多くの市場で回復基調となるなど明るい兆しは見えたものの、海上輸送コストや原材料価格の高騰の影響を受けた。このような中、経営基盤強を目指す全社プロジェクトを強力に推進するとともに、高機能商品の開発や増販など競争力強化に取り組んだ結果、増収増益を果たすことができた」と山本悟社長は2021年度を振り返った。

セグメント別の業績はタイヤ事業が売上収益7950億円(前期比17%増)、事業利益414億円(同1%増)、スポーツ事業が売上収益1014億円(同44%増)、事業利益86億円(前期は7億円の赤字)、産業品事業ほかが売上収益396億円(同3%減)、事業利益20億円(同38%減)だった。

「世界的な半導体不足などの影響があったが、市販用タイヤ、新車用タイヤともにコロナ影響からの回復が見られる中、販売を伸ばすことができた。ゴルフ用品では、コロナ影響に伴う市場縮小に反転が見られてことから、北米や韓国を中心に販売を伸ばすことができた」と山本社長は説明する。

2022年12月期の通期業績見通しについては、売上収益が前期比12.2%増の1兆500億円、事業利益が同19.2%減の420億円、営業利益が同19.7%減の395億円、当期純利益が同16.9%減の245億円を予想する。

「売上収益が1兆円を超えるのは住友ゴムグループが始まって以来初めてだが、残念ながら減益予想だ」と山本社長は厳しい表情を浮かべた。

コロナ禍からの緩やかな経済活動回復を期待したが、足元のオミクロン株感染拡大により経済活動が低迷し、先行きが予断を許さない状況になっているためだ。そのうえ、天然ゴムや石油系原材料の相場価格が21年に引き続き上昇していくと見ており、海上輸送コストも負担増になることから、厳しい見通しを立てざるを得なかったようだ。ちなみに、増減益要因では原材料価格の高騰で423億円、海上運賃高騰影響で216億円の悪化を見込んでいる。

特に上期(1~6月)の利益が厳しく、事業利益が60%減の120億円、営業利益が63%減の105億円となっている。22年度の年間配当予想についても、10円減配の45円だ。文字通り、2022年度は住友ゴムにとって厳しい年になりそうだが、新たなソルーションビジネスでなんとか落ち込みを最小限にとどめたいところだろう。

《山田清志》

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