総務省は11月30日、国土交通省に対して第4種踏切道の安全確保に関する実態調査の結果に基づいた勧告を行なった。
鉄道の踏切道は、警報機と遮断機があるものを「第1種」、特定の時間帯に係員が遮断操作を行なうものを「第2種」、警報器付きで遮断機がないものを「第3種」、警報機・遮断機ともにないものを「第4種」に区別されている。第2種は1985年までに姿を消しているため、踏切道の種別は実質的に3種類となっている。
2019年度時点で第1種は全体の9割程度(2万9717カ所)を占めているものの、依然として無防備な第4種が約8%(2603カ所)あり、第4種における踏切事故の頻度は第1種の2倍弱となっている。
こうした状況を受けて総務省は、2020年4月から2021年11月まで第4種を解消し第1種化する取組みの実態を、道路法適用外の里道などの道路(道路法外道路)が鉄道と交差するものを中心に調査したが、第4種の廃止や第1種化に際しては鉄道事業者が独自に地域住民との協議を進めるも、合意形成や費用確保の問題などで苦慮するケースが多く、十分に進んでいない実態が浮き彫りになった。
2016年度には道路法外道路にある第4種を第1種化する補助事業が創設されたものの、活用された例は1件のみで、総務省は踏切道改良促進法に基づき鉄道事業者や道路管理者が関係者(地方運輸局、地方整備局、都道府県知事、市町村長など)と踏切道の改良に必要な協議を行なうための組織である「地方踏切道改良協議会等」を活用して、踏切道の安全を確保することを勧告の形で促した。
この件について、斉藤鉄夫国土交通大臣は11月30日に開かれた定例会見で記者の質問に答え、「これまでも、度重なる『踏切道改良促進法』の改正や踏切道の統廃合の促進、遮断機・警報機の整備の支援など、様々な取組を進めてまいりました」と述べたが、地方自治体の協力が不可欠であるとして、地方踏切道改良協議会や既存の補助制度の活用し、地域と連携して第4種の解消や踏切道の安全確保に取り組んでいく考えを示している。
2019年度における都道府県ごとの第4種踏切道の数。山口県が一番多い。