日産自動車は11月9日、2022年3月期の第2四半期(4~9月期)連結決算をオンライン会見で発表した。半導体不足などによる減産影響はあったものの、営業利益は1391億円(前年同期は1588億円の赤字)と2年ぶりに黒字転換した。
通期の販売計画は下方修正する一方、販売の質向上などで利益予想は上方修正した。第2四半期(3か月)のグローバル販売は、前年同期比10%減の95万4000台となった。減産による供給不足が要因で、北米が9%減、中国が9%減、さらに日本も12%減と落ち込んだ。
第2四半期累計の営業損益段階での増減益分析では、台当たり収益の改善など販売パフォーマンスによる増益が2630億円に達し、黒字転換を支えた。また、為替は1ドル110円で3円の円安となり、通貨全体では186億円の増益要因になった。一方で原材料高騰の影響が398億円の減益に作用した。売上高は3兆9470億円(27.6%増)となり、売上高営業利益率は3.5%を確保した。純利益は独ダイムラー株の売却益もあり、1686億円(前年同期は3300億円の赤字)となった。
通期のグローバル販売計画は、半導体不足などによる減産から、これまでの440万台を380万台(前期比6%減)に見直した。しかし、通期業績予想は営業利益が従来比で300億円多い1800億円(前期は1507億円の赤字)に、純利益は1200億円増額の1800億円(同4487億円の赤字)へと上方修正した。
従来予想に比べ営業損益段階では、販売パフォーマンスで200億円、為替の円安で100億円などの修正を織り込んだ。純利益は持分法適用会社の収益改善などが要因としている。また、売上高は950億円下方修正の8兆8000億円(12%増)に見直した。
会見したアシュワニ・グプタCOOは第2四半期について「半導体不足など不安定なサプライチェーンの影響を受けたが、量より収益性を重視する取り組みが大きく前進し、上期は想定を上回る実績をあげることができた」と評価した。
また、通期予想の修正に関しては「販売台数の減少に比べ、売上高の減収幅は販売の質向上によって限定的となる。価値の提供に集中することで、利益は改善する。中期計画『日産NEXT』で掲げる23年度の売上高営業利益率5%の達成に向けて順調に進んでいる」と強調した。また、今月29日には電動化への取り組みなど長期ビジョンを公表すると明らかにした。