1961年に誕生した札幌市電M100形M101号(M101)のラストランが10月31日に行なわれた。
同車は、ラッシュ時の輸送力増強を図るためTc1形Tc1号(Tc1)とコンビを組む札幌市電初の連結車として誕生し、Tc1とともに「親子電車」と呼ばれていた。
Tc1が1970年に引退してからは半世紀にわたりM101が単独で運行されてきたが、現在のような派手な車体広告は施されず、60年前と同じ緑色を基調とした車体と、新型低床車以外では唯一の両開き扉で人気を集めていた。
そんなM101だったが、ラストラン前日の10月30日15時15分頃、札幌市中央区南1条西5丁目の市道で前方のタクシーを避けようとした自家用車に衝突されるという思わぬ事故に見舞われた。そのためこの日は以降の運行を中止し、自力で電車事業所(札幌市中央区)まで戻り、点検や検証が行なわれた。
状況次第では、ラストランが中止になるのかもしれないという憶測が飛んだものの、走行には問題なかったようで、10月31日は午前中までに応急修理を済ませ、13時3分から外回り循環線で運行を再開した。
以降は、一部、時間調整があったものの、ほぼ予定の時刻どおりに運行され、21時24分頃、中央図書館前停留場で60年に渡る営業運行を終了。臨時に応援の職員が乗務するほど超満員だった最終便の車内では「M101号にご乗車いただきありがとうございました」のアナウンスが流れた後に乗客から拍手が巻き起こり、ラストランらしいなごやかな雰囲気に包まれた。
ラストランを終え、電車事業所に入庫したM101号。今後は保存される模様。2021年10月31日。