JR西日本は10月27日、総合検測車「DEC741」を導入すると発表した。
これは、設備の状態を常時・監視することで、必要に応じてメンテナンスを実施するCondition Based Maintenance(CBM)に基づき、これまで目視により地上で行なってきた電気設備の検査を車上から広範囲に行なうもので、日本の鉄道事業者としては初の取組みだという。
DEC741には、電気設備撮像装置や電気設備測定装置からなる、カメラを活用した電気設備診断システムが搭載され、これらを通して得られた画像データから、地上に設置されるAI画像解析装置を通して検査対象を抽出し、良否判定を行なう。
架線検査専用だった在来線用交直両用電気検測車クモヤ443系の後継車として、11月中に2両1組が落成する予定で、先に登場した電気式気動車DEC700と同じく、ディーゼル発電機からの電力でモーターを回し走行するシステムとなっている。
そのためクモヤ443系とは異なり非電化区間も走行することができ、自社線のほか、JR四国やJR九州の各線区、IRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道、えちごトキめき鉄道、肥薩おれんじ鉄道、京都丹後鉄道でも運用される。
導入時期は2022年4月頃で、当初はクモヤ443系と同じく架線検測のみを行ない、2025年度から電気設備の車上検査を実施することを目指すとしている。
JR西日本ではDEC741を使用することで目視検査が減り、触車や感電、墜落といった事故リスクが低減できるメリットもあるとしており、2030年までに設備検査業務の約1割削減を目指すという。