アンプ内蔵DSPで音を変える…プロに訊いてみた[カーオーディオユニットの取り付け]

写真は“単体DSP”のコントローラーだが、“パワーアンプ内蔵DSP”を使う際にも同様のコントローラーを組み合わせられる(製作ショップ:サウンドフリークス<岩手県>)。
  • 写真は“単体DSP”のコントローラーだが、“パワーアンプ内蔵DSP”を使う際にも同様のコントローラーを組み合わせられる(製作ショップ:サウンドフリークス<岩手県>)。
  • “パワーアンプ内蔵DSP”の一例(プラグ アンド プレイ・PLUG&PLAY 1080)。
  • “パワーアンプ内蔵DSPの一例(アークオーディオ・PS8-50)。

カーオーディオシステムの改善を図ろうとするとき、気になるのは「取り付け工賃」ではないだろうか。当特集ではその不安を取り除いていただくことを目指し、作業内容と費用のメドを明らかにしている。今回は、“パワーアンプ内蔵DSP”の取り付けについて解説していく。

なお当特集は毎回、全国の有名カーオーディオ・プロショップに取材して記事を制作している。今回は、岩手県一関市の実力店、“サウンドフリークス”に話を訊いた。今回も有意義な情報がたくさん得られた。さて、その中身とは…。

システムを本格化させたいと思ったとき、“パワーアンプ内蔵DSP”が力を発揮!

最初に、ご存じない方のために“パワーアンプ内蔵DSP”とは何なのかを簡単に説明しておこう。これは、サウンドチューニングを行うためのDSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)と信号を増幅するためのパワーアンプとが一体化したユニットで、これをシステムに追加すると、サウンドを緻密にコントロールできるようになる。

ちなみに高度なチューニング機能を得たいと思ったとき、純正メインユニットを交換できる車種であればそれをハイエンドメインユニットに換えるという手も取れるが、純正メインユニットが交換できない車種の場合には、この“パワーアンプ内蔵DSP”が頼りになる。純正メインユニットを活かしたままで、システムを本格化させられるのだ。

さて、これの取り付けにはどのような手間がかかり費用はどのくらいになるのだろうか。そのあたりを“サウンドフリークス”の佐藤さんに教えてもらった。

「まず、本体を固定するための費用は、これをトランクに取り付ける場合にはほとんどかかりません。そして、純正メインユニットの音楽信号を入力する配線作業も、室内で完結できますのでそれほど手間が掛かりません。なので当店ではこの2つの作業の工賃は、本体をご購入いただく場合には特にはいただいておりません。

しかしシート下に取り付ける場合には、費用がかかることもあり得ます。シート下はフロア面がデコボコしていることが多く、そうであると下にボードを敷いて平らにしてから固定した方が良いからです。音にも影響が出ますし安全性も高まりますから。万が一本体が動いて電源ケーブルがダメージを受けたりすると、危険な状態にもなりかねません。この作業を行う場合には、1万円(税別)ほどをいただいています」

“パワーアンプ内蔵DSP”の一例(プラグ アンド プレイ・PLUG&PLAY 1080)。

費用がかかるポイントは、“バッ直”と“スピーカーケーブルの引き直し”!

「で、費用のかかるポイントは、実は他の部分にあるんです。主には2つあります。1つは、“バッ直”です。“バッ直”とは、プラス電源をメインバッテリーから直接引き込む配線方法なのですが、“パワーアンプ内蔵DSP”の使用においてはこの方法を取るべきだと当店では考えています。そうしないと必要な電力を確保できない場合がほとんどですし、メインユニット裏から電源を取っても良いとされているモデルでも、“バッ直”した方が安心です。音的に有利ですし。

費用は車両の状況によって変化しますが、部材代も含めて2、3万円(税別)程度をみていただきたいですね。

そして費用がかかるもう1つのポイントは、“スピーカーケーブルの引き直し作業”です。“パワーアンプ内蔵DSP”を使うと各スピーカーユニットを個別にコントロールできるというメリットが得られるわけですが、その利点を享受するためにはスピーカーケーブルの引き直しが必要になるんです。例えばフロントスピーカーが2ウェイの場合には、“パワーアンプ内蔵DSP”からツイーターとミッドウーファーのそれぞれにダイレクトにケーブルを繋げなくてはなりません。

なおこの作業を行うにあたっては、ついでにケーブルも新調された方が良いと思います。後々スピーカーを交換することになればケーブルも換えたくなりますので、先にケーブルを換えておけば後の工賃を抑えられます。

肝心の費用ですが、ケーブル代を除いて2、3万円(税別)ほどをいただいています。ドアの内張りパネルとメインユニット周辺のパネル類を外す作業が必要となり、室内からドア内部へと通線する作業に手間がかかるタイプの車両も増えていて、作業内容は案外大掛かりになりますので」

“パワーアンプ内蔵DSPの一例(アークオーディオ・PS8-50)。

費用のかかるポイントは他にも…。しかし費用をかける価値は大!

「あと、コントローラーをスマートに埋め込みたいとお考えになると、そこにも費用がかかります。例えばセンタークラスターパネルの小物入れスペースを活用して埋め込んだりする場合、当店では2、3万円(税別)くらいをいただくことが多いです。なお、埋め込まずにセンターコンソール等に置いておく場合には、別途費用はいただいておりません。

ところで、音にこだわろうとする場合には、費用がかかる部分がもう1つ出てきます。それは、“DAPの配線作業”です。

“パワーアンプ内蔵DSP”を導入する場合には普通、純正メインユニットをソースユニットとして使うことになるわけですが、そこが不満要因になるケースが多く、となるとDAPをソースユニットとして使いたくなります。純正メインユニットとしての性能がイマイチな場合が多いからです。

そしてその際には、DAP本体代に加えて接続のためのパーツ代がかかってくるんです。DAP側の出力端子と“パワーアンプ内蔵DSP”の入力端子のタイプが合わない場合が多いんです。そうであると変換アダプター等が必要になり、パーツ代だけで5万円くらい必要となるケースも出てきます。

このよう、“パワーアンプ内蔵DSP”の導入には費用のかかるポイントがいくつかあり、ハードルは低くはありません。しかし費用対効果が高いことも確かです。単体DSPを導入するのに比べたらお手軽ですし。システムの性能を上げたいとお考えの際には、ご検討いただく価値は大きいと思います。

ご来店いただけましたら、ご要望に沿ったモデルと導入方法をいろいろとご提案させていただきます。また、それ以外のことも何なりとご相談ください。お近くでしたらぜひ、お気軽にお越しください。お待ちしています」

《太田祥三》

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