日産自動車の欧州部門は6月24日、『ジューク』(Nissan Juke)のラリー仕様車のレンダリングイメージを公開した。ダットサン『240Z』(日本名:日産『フェアレディZ』)が東アフリカ・サファリラリーで勝利して、50周年を迎えたことを祝福している。
1971年の東アフリカ・サファリラリー優勝車がモチーフ
日産はフェアレディZ(輸出名:ダットサン240Z)のスポーツカーとしての性能を実証するために、過酷なモータースポーツとして知られる世界のラリーに挑戦した。エドガー・G. ハーマンとハンス・シュラーの両選手が乗り込んだダットサン240Zは、1971年の第19回東アフリカ・サファリラリーにおいて、初出場ながら総合優勝を果たしている。
日産は前年の1970年、第18回東アフリカ・サファリラリーにも参戦しており、ダットサン『ブルーバード』(510型)が優勝。これに続いて、同ラリーを2年連続で制した。1971年の東アフリカ・サファリラリーでは、2位にもダットサン240Zが入った。日産は同ラリー2連覇を、1-2フィニッシュで飾るという快挙を成し遂げた。
ダットサン240Zには、排気量2393ccの「L24型」直列6気筒ガソリンエンジンを搭載していた。専用チューンされたこのエンジンは、最大出力210ps/6800rpm、最大トルク23.5kgm/6000rpmを獲得していた。
このダットサン240Zは2013年、日産自動車のボランティアグループ「日産名車再生クラブ」の手により、東アフリカ・サファリラリーでのゴール時のダメージを残しつつ、フルレストアされ、走行可能な状態に復元された。現在は、「日産ヘリテージコレクション」に収蔵されている。ダットサン240Z(日産フェアレディZ)の1971年東アフリカ・サファリラリー優勝車
特注のオフロードタイヤや補助ライトを装着
ジュークのラリー仕様車は、『ジューク・ラリー・トリビュート・コンセプト』と命名された。WRC(世界ラリー選手権)が19年ぶりに、「サファリ・ラリー・ケニア」を開催するのに合わせて、同ラリーの初日の6月24日にレンダリングイメージが公開された。
レンダリングイメージの作成にあたって、市販モデルのジュークのデザインの特長を生かすことが出発点になったという。ジュークは、堅牢で背の高いフォルム、短いフロントとリアのオーバーハング、敏捷性、オフロードパフォーマンスなどの特徴を備えている。
ジューク・ラリー・トリビュート・コンセプトでは、特注のオフロードタイヤを装着するために、前後フェンダーが拡幅された。ボンネットには、補助ライトが追加されている。車高も引き上げられた。リアゲートのガラスは取り払われ、スペアタイヤが積載されている。日産 ジューク・ラリー・トリビュート・コンセプト
黒いボンネットフードとホイールはダットサン240Zへのオマージュ
ジューク・ラリー・トリビュート・コンセプトの黒いボンネットフードとホイールは、1971年の東アフリカ・サファリラリーで優勝したダットサン240Zへのオマージュだ。ブラックのボンネットは、日産が2015年秋、フランクフルトモーターショー2015で発表した『グリップス・コンセプト』にも採用された。このグリップス・コンセプトが、2019年に発表された現行ジュークのデザインに影響を与えたという。
電動化への日産のコミットメントの一部として、ジューク・ラリー・トリビュート・コンセプトのパワートレインには、ハイブリッドを選択した。より高い燃費効率を可能にするだけでなく、すべての条件で動力性能を向上させるために、モーターがエンジンをアシストするトルクを瞬時に引き出すという。
なお、欧州日産は、ジュークをベースにした現代の日産のラリーカーがどのように見えるかを示すために、レンダリングイメージを公開した、としている。