長崎の路面電車が令和に入り初の運賃値上げへ…利用者減、新車投入、設備改良などが影響 10月1日予定

2期連続で利用者数が前年度を下回った長崎電軌。コロナ禍においても新車投入や設備改良などが続くことで、値上げが避けられない情勢だが、2022年度は対前年度約6割増を見込み、以後も均衡した数を目指す。
  • 2期連続で利用者数が前年度を下回った長崎電軌。コロナ禍においても新車投入や設備改良などが続くことで、値上げが避けられない情勢だが、2022年度は対前年度約6割増を見込み、以後も均衡した数を目指す。
  • 長崎電軌

長崎電気軌道(長崎電軌)は6月25日、国土交通省九州運輸局に対して運賃上限変更認可申請を行なったことを明らかにした。

申請によると実施は10月1日を予定しており、普通旅客運賃は大人のみ10円アップの140円に。定期旅客運賃は据え置かれる小学生用の通学定期を除き、約7.61~7.67%の値上げとなる。

このうち、定期旅客運賃では6カ月用が新設されるが、1カ月用のみだった「通勤通学定期」は廃止され、全線定期では3カ月用も新設される。1日乗車券は20%アップの大人600円・子供300円となる。

長崎電軌の現行普通旅客運賃が130円となったのは2019年4月のことで、同年10月に実施された消費増税の際は据え置かれたため、認可されれば2年半ぶりの値上げとなり、令和では同社初となる。

長崎電軌では、少子高齢化や若年者の県外流出による人口減少などにより、輸送人員が1994年度をピークに減少傾向に。近年はコロナ禍も加わり、2019・2020年度の利用者数はともに前年度を大幅に下回っており、2020年度は前年度の6割強に留まっている。

その間、ICカードや超低床電車6両の導入などが続き、2021年度には超低床電車1両の追加導入や多言語対応車外行先表示器のLED化などを予定。2022年度以降も超低床式電車1両の追加導入や長崎駅前停留場の改良、変電所の更新などを予定していることから「引続き多額の資金と減価償却費の増加による非常に厳しい経営状況が見込まれています」として、安全性向上やサービス改善のためには値上げによる収支改善が必要であることに理解を求めている。

なお、申請を受けた国土交通省九州運輸局では7月9日18時まで電子政府の総合窓口(e-Gov)で申請についての意見募集を行なう。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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