名門大洋フェリー「フェリーきょうと」進水…約35%省エネ、2021年内就航

「フェリーきょうと」命名・進水式
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三菱重工グループの三菱造船は13日、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構ならびに名門大洋フェリーより2隻を受注して建造中の大型フェリーのうち、1番船の命名・進水式を、三菱重工業下関造船所江浦工場(山口県下関市)で行なった。

本船は、国の運輸政策に基づき運輸施設などの整備に対する支援を行なう鉄道・運輸機構と名門大洋フェリーの共有船で、「フェリーきょうと」と名付けられた。

本船は今後、艤装工事、試運転などを経て2021年12月に発注者に引き渡された後、「フェリーきょうとII」(2002年から運航)の代替として、同年同月から名門大洋フェリー・大阪~北九州・新門司航路に就航する予定だ。

「フェリーきょうと」は長さ約195m、幅27.8m、深さ20.3m、総トン数約1万5400トン。名門大洋フェリーとしては歴代最大の船となる。積載能力は12mトラック約162台および乗用車約140台、旅客定員は675人。

内装デザインは、日本の情緒を感じさせる「古都のたたずまい」をコンセプトとした。船体の大型化による広々とした公共スペースと開放感のある展望レストラン、展望浴室、展望ラウンジが設けられる。また、乗用車用積載スペースを旅客甲板に確保し、客室の大部屋を廃止してベッド化するなど、空間の有効活用によるサービス向上をめざした。

推進プラントは、ハイブリッド型アジマス推進加勢方式(通常の後ろ向きのプロペラと、水平方向に転向できるアジマススラスターの併用)を採用。これと空気潤滑システム(船底から吹き出した空気が、細かい気泡となって船底をカーペットのように覆う)とを組み合わせることで、大幅な省エネを実現したという。大型トラック1台を運ぶのに必要な燃料消費量を、既存船から約35%削減したそうだ。省エネによるCO2低減に加え、新型スクラバー(空気洗浄塔)を装備することで大気中に放出するSOx=硫黄酸化物も低減した。

三菱造船によると現在、国内において、陸上輸送のCO2削減、長距離ドライバー不足・働き方改革の観点から海上へのモーダルシフトが進行しており、それに伴ってフェリー、RORO船(トラックやトレーラーが自走で乗船・上陸する船舶)などへの需要や、船舶の大型化ニーズが高まっているという。

《高木啓》

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