新感覚、スマホが鍵になるカーシェア「Patto」を使ってみた【現地体験レポート】

22日、大阪豊中市で新しいタイプのカーシェアサービス「Patto(パット)」が始まった。

「Patto(パット)」は、スズキアリーナ豊中の2台はスズキ自販近畿が、その他豊中市周辺の住宅街の中にある月極駐車場などに点在する7か所のステーションをスマートバリューが車両を配置し、若い女性や子育て主婦の日常の足を意識した郊外型のカーシェアとして、スズキ、スマートバリュー、丸紅の3社で1年間実証実験として開始したカーシェアサービスだ。

今や普及期にあるカーシェアに、果たして新規で実験すべき要素はあるのだろうか。

「カーシェアの稼働率を上げるポイントは平日の稼働にある。先行しているカーシェアサービスは法人利用を促すことで平日稼働を上げているが、オフィスがない住宅街ではその手法に限界がある」(スマートバリュー上野真氏)という。その意味では、人の移動、市民の足として本当のモビリティサービスとしてのカーシェアはまだ確立されていないとも言える。

カーシェア空白地帯ともいえる郊外の住宅地にカーシェアサービスは成立するのか、というテーマを持ち「Patto」は、とくに女性の生活者が、日常の足としてパッと気軽に使えるカーシェアサービスを目指していくつもの工夫が織り込まれた。

まず、スマートフォンですべてがパッとできてしまうこと。最近はスマホ決済の普及により、ポケットにスマホだけ入れて外出する機会も増えてきている。そのスマホがクルマの鍵にもなり登録、予約、決済も可能にするのが「Patto by Kurum Base」というPatto専用アプリの特徴だ。

実際に前日にダウンロートしたアプリを22日のサービス初日に登録して使ってみると、これまでのカーシェアにない新しい使い勝手に新鮮さを感じた。

登録時の本人確認(不正防止)は、本人と免許証の撮影を同時に行う登録時の本人確認(不正防止)は、本人と免許証の撮影を同時に行う1.会員登録。クレジットカードだけでなく免許証もスマホの自撮り機能を利用してなりすましを防ぎ、登録後はすぐに会員としてカーシェアが利用できる。
2.予約。位置情報機能を利用したステーション検索、希望時間に空いていれば15分後以降、1分単位でクルマを借りることができる。その他パックプランや月額プラン(後述)も選択可能。
3.解錠。スマホはセルラー通信を用いて認証サーバから暗号キーを受け取り、Bluetooth通信でバーチャルキー車載器に指示を出す。スマホはクルマのリモコンキーの代わりになりクルマに近づいたら解錠ボタンをタッチして解錠する。
4.運転。バーチャルキー車載器はスマホと交信しながらイモビライザー信号もコントロールし、クルマのスタートボタンを押すとエンジンが始動する。
5.ナビ。クルマにカーナビは付いていない。その代わり2DINサイズのディスプレイオーディオがついている。白いケーブルはアップルのLightning端子、USB-C端子、Micro USB端子すべてに対応しておりスマホのカーナビアプリが、CarPlayやAndroid auto機能経由でディスプレイに表示される。
6.施錠。目的地でクルマを降りるときもスマホだけ持ち出せば良い。もちろん施錠もアプリ。うっかり施錠しないでクルマから離れると施錠を促すアラートが届く。
7.返却。

走行中操作が必要なナビは、ディスプレイオーディオを利用する。スマホナビを画面表示可能でスマホ操作が不要になる。古い地図になやませることもない。走行中操作が必要なナビは、ディスプレイオーディオを利用する。スマホナビを画面表示可能でスマホ操作が不要になる。古い地図になやませることもない。もちろん、Patto by Kurum Baseアプリは入力や操作を受け持っており、実際の“仕事”はスマートバリューのKurumaBaseクラウドや、イード・ジゴワッツのバーチャルキー車載器とkey/bot認証サーバ、テクトムのテレマティクスユニット、パイオニアのディスプレイオーディオとの連携なのだが、これらの要素を使いやすくアプリに統合した結果は見事である。豊中の住民が文字通りパッとカーシェアを使えそうなUXを実現している。

おっと、とても重要なことだが。こんなに便利でもスマホだけではクルマには乗れない。運転免許証を所持しないで運転すると免許不携帯で違反になってしまう。豊中周辺のPatto会員はスマホケースに免許証を入れておくことを推奨したい。こうすればスマホだけでパッと外出できる。

カーシェアのステーションは、店の裏側、住宅地サイドにスペーシアとソリオが配置されていた。カーシェアのステーションは、店の裏側、住宅地サイドにスペーシアとソリオが配置されていた。クルマが軽自動車、コンパクトカーであることもパッとクルマを使うには重要だ。お父さんが主に運転する自宅メインカーは大きすぎたり、高級だったり、趣味の要素が入っていたり、女性には運転しづらいこともある。もっと郊外であれば駐車スペースもふんだんにあり、複数所有があたりまえだが、ここ豊中市のような大都市周辺の住宅地では一家に一台所有が通常である。本当は日常の足としてセカンドカーが欲しいと思う主婦の声も納得である。取材日は、『ラパン』を撮影し、『ソリオ』に試乗したが、住宅街の細道もストレスなく運転できるのはコンパクトカーならではの嬉しさだ。

利用料金体型にもメスを入れている。分単位課金のベーシックプランは過去の走行データから安全運転度をS、A~Eとランク判定し、ランクが高いほど時間課金の単価が安くなる。逆に運転があらっぽいとランクが下がり、単価が高くなる。新規ユーザーはCランク1分13円でスタートして、安全運転を続けるとSランク10円まで1円刻みで安くなる。一方、判定が悪いとEランクまで下がり15円。Sランクで15分150円、Eランクでは15分で225円(税抜)という価格になる。

月額固定(利用時間上限あり)のフラットプランは、ほぼサブスクリプションといえる。月9800円で、平日に限り1日2時間まで自由に利用することができる。塾の送り迎え、通院、介護サービス利用など、決まった外出だけなら、もうセカンドカーを持つ必要はないかもしれない。駐車場、ガソリン代、保険代、メンテナンスなどいっさいかからないPattoにコスト面の軍配は上がりそうだ。

レンタカー的に使う6時間、24時間、48時間といったパックプラン(距離課金あり)も用意されている。

コーナーセンサーのアラームコーナーセンサーのアラーム今回採用したスズキの軽自動車およびコンパクトカー車両は、純正のADAS機能の他、後付で通信機能つきドラレコ、バックカメラ、コーナーセンサーが備わっている。ユーザーに安心・安全を提供したいという気持ちと、安全運転者に割引があるのと同様、クルマが痛み稼働率が下がる事故率を少しでも下げたいという運用側の事情にも沿った装備と言えよう。

Pattoのサービスは、スマートバリューのKuruma Baseプラットフォームをほぼそのまま利用している。さまざまなシェアリングやモビリティをサービスとして提供したいサービスプロバイダに合わせてカスタマイズしたホワイトレーベルでのアプリ提供も視野に入れている。車種、メーカーに依存せず、車両に対して無改造でシェアカーにセットして原状復帰も簡単。プロバイダは、シェア用の車両とスペースがあれば、カーシェアを実現できるのは大きな利点であろう。

スマホをエントリーキーやイモビライザーのコントロールキーの代わりにできるのは、イード・ジゴワッツのバーチャルキーの機能による。バーチャルキーはインストールが手軽であるにもかかわらずセキュリティは高い。認証キーは、免許証番号、会員ID、カード番号といった固定的な要素は直接利用せず、利用のつど発行するワンタイムパスワードを利用する。仮に、地下駐車場や車載モジュールの圏外に車両があったとしても、オフライン時のパスワード同期が行える仕組みも導入しており抜かりはない。

スズキアリーナ豊中の店頭は大きな道路に面している。スズキアリーナ豊中の店頭は大きな道路に面している。実証サービス開始時に、さっそくPattoの登録、アプリ利用、シェアカーの試乗をしてみたわけだが、ようやく日常で使えるカーシェアサービスがでてきた感がある。近所の月ぎめ駐車場がこのようなカーシェアステーションとなった状態を想像してほしい。

まだエリアも限定され(実証実験だからやむを得ない)、万人がこの良さを分からないかもしれないが、Pattoのプラットフォームは、逆に地域ごとの生活サービス向上やビジネスの新しいチャンスを広げるものとして期待したい。

《中尾真二》

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