デンソー 松井経営役員「部品メーカーの合従連衡はこれからまだ起こる」

デンソーの松井靖経営役員
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  • デンソーの決算説明会の様子

デンソーの松井靖経営役員は10月30日、2019年度第2四半期連結決算の説明会で、前日に発表された日立とホンダ系の部品メーカーの統合について触れ、「合従連衡はこれからまだ起こる」と話し、ライバルができることはいいことだとの見解を示した。

「やはり規模が大きく、それなりに設備投資ができる会社、車両統合プラットフォームやサブシステムすべてを提供できる会社がこの業界で生き残れるキーワードだと思う。会社を分割して提供できるシステムが小さくなってしまうと、取引先から求められるニーズからちょっと離れてしまう。統合によって大きな会社がでてくれば、協調領域での標準化もしやすくなる」

松井経営役員によれば、車の電動化や自動運転の開発を進めていくと膨大な費用がかかるので、これまでのようにすべて競争しようというは考えはなくなり、協調領域と競争領域を分けてベースの部分では協調しようという考え方が出てくるという。しかし、規模が余りに違いすぎると、なかなか協調しようとしても難しい。その意味で、約1兆7000億円規模の部品会社が出現することは、デンソーにとって協調領域で標準化を進めるための窓口ができたという思いである。

2019年度第2四半期の連結決算は売上高が2兆6184億円(前年同期比0.2%減)、営業利益が1340億円(同12.0%減)、当期純利益が1042億円(同8.6%減)だった。中国、インドなどアジアの市場減速があるなか、日本と北米を中心に物量ベースで増加するものの、為替影響により売上高が微減した。

ただ、トヨタ自動車向けは好調で、同5.0%増の1兆2554億円だった。特に日本での車両生産の増加が寄与した。トヨタグループ以外は同5.8%減の1兆651億円でSUBARU(スバル)、マツダ、ホンダ向けが増えたが、VW・アウディ、日産、スズキ、フォード、GM、FCA向けが減少した。なかでもVW・アウディ向けは21.5%も落ち込んだ。

また地域別では、インドの落ち込みが激しく、2割ほど下振れしたという。「もっと減速する可能性があり、金融危機の状況に近い」(松井経営役員)そうだ。そのほか、中国については、ホンダ、トヨタ向けが増えているが、フォード向けが落ち込んでいる。米国については、新車販売がそれほど落ち込んでいないものの、収益率が悪く、その向上が経営課題とのことだ。

通期の業績見通しについては、足元の市場環境の下振れや円高影響を反映して、売上高を当初計画より2400億円少ない5兆2600億円、営業利益を600億円少ない3200億円、当期純利益を480億円少ない2570億円にそれぞれ下方修正した。しかし、配当については当初予想の年間140円を据え置いた。

《山田清志》

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