シベリア鉄道を活用した鉄道コンテナ輸送を日露間から日欧間に拡大…今年度にも実証事業を開始

5月24日にロシア鉄道主催で開催された「日本のためのシベリア鉄道」に合わせて行なわれた署名式の様子。左から日本トランスシベリヤ複合輸送業者協会の枡田会長、国土交通省の篠原国土交通審議官、ロシア連邦運輸省のトカレフ次官、ロシア鉄道のミシャリン第一副社長。
  • 5月24日にロシア鉄道主催で開催された「日本のためのシベリア鉄道」に合わせて行なわれた署名式の様子。左から日本トランスシベリヤ複合輸送業者協会の枡田会長、国土交通省の篠原国土交通審議官、ロシア連邦運輸省のトカレフ次官、ロシア鉄道のミシャリン第一副社長。

国土交通省は5月29日、シベリア鉄道を活用した日本~ロシア間鉄道コンテナ輸送の実証事業を、2019年度に欧州まで拡大することを明らかにした。

シベリア鉄道を活用した日本~ロシア間の鉄道コンテナ輸送は、海上、航空に次ぐ第3の選択肢として注目され、2017年8月には日本からロシアに対して税関手続きの改善や日本企業からの問合せ窓口を設置する要望が出された。

同年10月にはロシアに日本企業向けの「ワンストップヘルプデスク」と呼ばれる窓口が設置され、2017年12月から翌年1月にかけては横浜~モスクワ間で実際に貨物輸送を行ない、税関手続きの運用などが確認された。

2018年4月には日本・ロシア共同で「パイロット輸送」と呼ばれる試験輸送を行なうことが合意され、同年8月には横浜発で順次開始。今年1~3月には輸送結果が取りまとめられた。

それによると、50~60日程度と想定された日本~ロシア間の海上輸送より2分の1から3分の1程度の日数で輸送できることや輸送品質に問題がないことなどが確認され、食品輸送手段としても海上輸送より優位で、航空輸送を代替できる緊急輸送手段にもなりうるとした。

この結果を受けて、今年度からは輸送範囲を日本~ロシア間から日本~欧州間に拡大しての実証事業を開始する運びとなり、5月24日には関係するロシア連邦運輸省、ロシア鉄道、日本トランスシベリヤ複合輸送業者協会(TSIOAJ)との間で協力覚書を締結。同日に署名式が開催された。

国土交通省では今回の覚書締結を通して「日露欧間貨物輸送におけるシベリア鉄道の利用促進のため、ロシア国内の規制や手続きの見直し、サービスの改善、広報等の実施等を通じ、日露間の協力関係を一層促進してまいります」としている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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