日本自動車工業会は、2017年度に実施した乗用車市場動向調査結果をまとめた。
調査は、単身世帯を含む全国の一般世帯における乗用車の保有、今後の購入意向などを隔年で調査し、需要の質的変化の見通しに役立てようとするもの。今年度は保有状況・使用実態・今後の購入意向について時系列の動きに主眼を置いた。また、トピックとして次世代自動車・先進安全技術・次世代技術・若年層に注目した。
時系列調査の結果では、乗用車世帯保有率は76.8%で、地方圏、高年収層、家族期で高い傾向は変わらなかった。首都圏中心部・近郊と地方圏都市部では車の保有は利便性よりも必要性との関係が強く、首都圏周辺部と地方圏周辺部・郡部では利便性・必要性ともに関係が強い。
軽乗用車の増加傾向、軽乗用車を含めた複数保有も増加傾向と軽自動車への移行が継続している。非保有の理由は維持費負担大が上位で増加傾向にある。今後の購入意向は低水準だった。
購入状況では、同タイプ・クラスからの代替が中心で、保有長期化傾向は変わらない。今後の保有・購入動向によると減車意向・保有長期化意向が継続している。ダウンサイズ意向も継続しており、次世代エンジン意向は約3割にとどまる。
トピックス調査結果によると次世代自動車への意識では「ハイブリッド車」「電気自動車」の認知が6割を超えているものの、「ハイブリッド車」を除いて受容は低レベルだった。先進安全技術車に対する意識では運転を続ける上での不安をカバーする「予防安全技術」の魅力度が高い。60歳以上で魅力度が高い傾向も変わらない。
次世代技術に対する意識では自動運転車に関心があると答えた人は4割強だった。「自動運転レベル3」までの技術を望む人は2割程度にとどまる。
4割強が超小型モビリティを認知しているが、購入・利用意向者は2割弱だった。保有形態に対する意識ではレンタカー以外の自動車サービスの認知・意向はまだまだ低レベルと普及途上。カーシェアは首都圏中心部では認知が全国より高い。
高齢層の意識分析では、まだまだ運転する意欲はあるものの、運転に対する不安から移動手段が確保されれば7割が返納制度を利用する意思を持っている。若年層の意識分析(四輪車非保有者)では車の使用価値は認識しているものの、お金をかけてまで車を所有する意識は低い。