【スーパーフォーミュラ 富士テスト】2日目の1番時計は野尻智紀がマーク…各陣営、難解な状況も抱えつつ開幕へ

モータースポーツ/エンタメ モータースポーツ
2日目の総合トップタイム、#5 野尻。
  • 2日目の総合トップタイム、#5 野尻。
  • 2日目の総合2番手タイム、#1 石浦。
  • 2日目の総合3番手タイム、#3 キャシディ。
  • 2日目の総合4番手タイム、#50 千代。
  • 2日目の総合5番手タイム、#20 平川。
  • 2日目の総合6番手タイム、#64 カーティケヤン。
  • 2日目の総合7番手タイム、#65 伊沢。
  • 2日目の総合8番手タイム、#7 フィッティパルディ。

29日、富士スピードウェイでのスーパーフォーミュラ(SF)公式テスト2日目は、参戦5年目を迎える野尻智紀がトップタイムをマークした。2番手タイムは0.009秒の僅差で前年チャンピオンの石浦宏明。各陣営はいろいろと『分からない』状況も内包しつつ、開幕戦へと向かう。

前日に続く好天のもとで、開幕前の公式テストは最終日を迎えた。この日も今季参戦の全11チーム・19台が参加したが、TEAM MUGEN(エンジンはホンダ)の#15はレギュラーの福住仁嶺が今回は当初から初日のみの出走となっており、2日目は18歳のF3ドライバー、阪口晴南(さかぐち せな)が乗り組んでいる。その他の18台は今シーズン正ドライバーでの出走。

走行セッションは午前と午後、それぞれ実質2時間ずつで、この日もオーバーテイクシステム(OTS)の使用は前日同様に午前のみ2回。タイヤはもちろん、今季から全戦で実施されるドライタイヤ2スペック制のためのソフトとミディアムがヨコハマから供給されている。

路面の変化や、タイヤのマイレージ的な新旧×硬軟など“変数”が多いため、タイム比較には常に但し書きが付く状況下、2日目の総合上位タイムは午前セッションに集中した。一概には言えないが、一部のドライバーやエンジニアによるとOTS駆使によって0.4~0.5秒のゲインがあったようなので、その影響も出たと考えられる。

トップタイムは#5 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)の1分21秒621、そして0.009秒差で#1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)が2番手に続いた。ともに午前、ソフトのニュータイヤでOTSを使用してのタイムである。

トップの#5 野尻はテスト終了後に開口一番、「正直、あんまり意味のあるトップタイムではないと思いますよ」と言って笑った。今年のSFテストは前記したように変数が多く、従来以上に同じ土俵で同じメニューでのタイム序列ということにはならないからだ。「(自分がタイムを出した時に)他のみんながどういう状態だったのか分からないですからね」。同趣の談話は他のドライバーやエンジニアからも聞かれている。

また、『分からない』には多くの場合、たとえば履いているタイヤのコンディションによって手応えが良かったり良くなかったりという、自陣の入り組んだ状況を意味することもある。観る者にも戦う者にも(特に走行直後は)難解、そのぶん実戦が面白くなりそうとも言える、そんな概況なのだ。

さて、#5野尻はトップタイムをマークした時の状況をこう振り返った。「今日は(セットアップを)前日からけっこう変えたりしていて、それがある程度かたちになってきたのでソフトを履いた、そんなところでした。グリップは出てきていた状態だったと思いますし、アタック自体はミスなく、そつなく走ることはできました」。ただ、「タイムと順位には、あまり意味はないですね」と繰り返す。

午後のセッションの最後にはトラブルでコース脇にストップしてしまったシーンもあった野尻。だからということではないが、「もっともっと開幕前にテストの日数が欲しいですよね。やりたい項目はまだありますから」。ただ、皆がそういった状態でも「順位はつくわけですよね。そういう意味ではポジティブなところもあると思います」と語り、結果の重要性にも思いを至らせる。

野尻は今年で参戦5年目、チームもずっとDANDELIONだ。自身参戦初年度に初優勝を飾るなどセンセーショナルな活躍を演じたが、昨季あたりは予選で高い競争力を発揮するものの、決勝で結果につながらない展開が多かった。「そのあたりは(マシン的に)改善されつつあると思いますし、ちょうどデビュー年から使われているこのクルマ(SF14)が今年で最後なので、またデカイこと(優勝)をしたいと思います。(トップタイムですけど)マシンのフィーリング的にはもっと上積みをしていきたいですね。頑張ります」。

野尻はこのトップタイムを弾みに今季、再び大きな注目を集めるような躍進を狙っていく。

0.009秒差の2番手タイムは昨季王者の#1 石浦。野尻同様、順位ほどの満足感はなく、やはり「分からないですね。モヤッとしたまま(テストが)終わってます」のひとことに感触は集約される。だが、「ソフトとミディアムに対する理解は進んだと思います」とも語り、2年連続3度目の王座へ向けて石浦の出足はわるくないようだ。

午前午後総合の3番手タイムは、参戦2年目の#3 ニック・キャシディ(KONDO RACING/トヨタ)。4番手が新人の#50 千代勝正(B-Max Racing team/ホンダ)で、5番手が復帰組の若手#20 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)と、この日もフレッシュな面々が上位に並んだ。これは今季の公式テストのひとつの傾向か。

6~7番手はTCS NAKAJIMA RACING(ホンダ)の2台で、#64 ナレイン・カーティケヤン、#65 伊沢拓也の順。8番手には注目新人、F1王者エマーソン・フィッティパルディを祖父にもつ#7 ピエトロ・フィッティパルディ(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS/トヨタ)がつけた。「とても生産的なテストだったよ」と、内容も伴ったものであったようだ。実戦での戦いぶりにも注目したい。

そしてSFの次なる公式日程は、いよいよ開幕戦となる。4月21~22日の鈴鹿サーキット、決勝300km戦の設定で実施される「2018 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース」で、今年も日本一速い男の称号をかけた戦いがスタートする。

《遠藤俊幸》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集