ヤマハ発動機の2017年12月決算、過去最高益達成も先進国の二輪事業は赤字のまま

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ヤマハ発動機の決算会見の様子
  • ヤマハ発動機の決算会見の様子
  • 決算の説明をする日高祥博社長
  • ヤマハ発動機の日高祥博社長

ヤマハ発動機は2月13日、2017年12月期連結業績を発表した。それによると、売上高が1兆6700億円(前年度比11.1%増)、営業利益1497億円(同37.9%増)、当期純利益1016億円(同60.9%増)と各利益とも過去最高益を達成し、営業利益率も9.0%と過去最高だった。

「一番大きいのは二輪事業の収益性改善だ。特にプラットフォーム開発という手法でモデル1台当たりの限界利益率を上げることに取り組んでおり、1つのエンジンをいろいろな商品に展開していくことができた。競争力のあるエンジンをつくって外装でいろいろな付加価値モデルに変えていった結果、アセアンでヒット商品が生まれて利益率の改善につながった」と日高祥博社長は説明する。

その他の事業についても好調で、特にマリン事業、産業用機械・ロボット事業、電動アシスト自転車のPAS事業が大きく業績を伸ばし、最高益に貢献した。なにしろこの3事業はどれも営業利益率が17%以上となっているからだ。例えば、マリン事業が18.4%、産業用機械・ロボット事業23.1%、PAS事業17.8%という具合だ。

しかし、2018年1月1日付で社長に就任した日高社長の顔には笑顔がなく、不満が残る結果だったようだ。というのも、先進国の二輪事業が営業赤字のままだからだ。おまけにオートバイのトップメーカー、ホンダとも販売台数、収益性で大きく離されてしまった。

「私どもがホンダさんにかなわないのはスケールメリットを活かしたコスト競争力だ。その点についてはベンチマークにしているが、まだまだ改善していかなければいけないところがある。価格競争でホンダさんと戦うと、うちには勝ち目がない。ホンダさんは安くて非常にいいオートバイをつくっている。そのような規模を追う領域で勝負するよりは、より付加価値の高い、ちょっと個性的でスポーティなところで、すれ違いながら戦っていこうと考えている」と日高社長は説明する。

また、先進国の二輪事業については、ブランド個性を発揮する商品やヤマハらしいマーケティングを展開しながら新たな需要を掘り起こし、赤字脱却を図っていくそうだ。今年は大型の三輪オートバイ『NIKENスポーツ』を市場投入する予定だ。

学生時代からヤマハのオートバイに乗り続けている日高社長が、どんなヤマハらしいオートバイを出していくのか要注目だ。

《山田清志》

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