首都高が積雪対策を確立、今期暫定…増員体制と早期実施

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1月22日の雪では、約96時間にわたって通行止めが実施された
  • 1月22日の雪では、約96時間にわたって通行止めが実施された
  • 交通管制室では、大型パネルに示される車両速度から積雪による走行不能を感知する

首都高速は8日、今季の積雪対策を公表した。1月に発生した積雪による96時間の通行止めを検証し、積雪時の対策をより明確にした。キーワードは「早期の実施」と「体制の増強」だ。

対策ではまず、積雪時に車両が走行不能になりやすい場所を洗い出した。通行障害は積雪で走行不能に陥った(=スタック)車両が引き起こすことからだ。JCT(ジャンクション)、出口を含む勾配5%以上の場所100か所と、過去にスタック車両が発生した24か所の合計124か所をピックアップした。

118か所については、従来からの交通監視カメラ(CCTV)を利用して路面状況と車両の挙動を監視。カメラ設置に時間が必要な6か所については、白い斜線で区切られたゼブラゾーン(導流帯)に交通パトロールカーを停車させて監視することを明確にした。また、現場から離れた交通管制室でも、大型図形パネルに示される車両速度を参考に、現場と管制室の双方でスタック車両の早期発見に努める。

また、過去にスタックが発生した24か所には、積雪予報が出された時点で、それぞれの最寄りの料金所にレッカー車を差し向ける。積雪が始まった時点で本線に乗り入れ、スタック発生後に救出に向かうという事後対応を改めた。

通行止めの判断も早まる。今回の暫定対策から、積雪や凍結など路面状況が悪化した場合には通行止めの規制を早める。

特に山手トンネル、横浜北トンネルでは、JCTを含むトンネル形状になっていない明かり部(屋根のない区間)で路面状況が悪化した場合は、その部分だけでなく、全区間を通行止めにする。交通量などで閉鎖に時間を要する入口は、必要に応じて事前閉鎖を実施する。

スタック車両の排出は、通常の出口だけでなく、逆行させて入口から行うことも警察と協議。料金所で開通待ちをする車両に対しては、災害対策基本法による移動指示を要請し、スタック車両の排出を優先する。

1月の積雪では山手トンネルで約10時間に及ぶ車両滞留が発生したが、渋滞などで現地にたどり着くことができなかった。こうした場合に水、食料、簡易トイレを手当てすることも今回の暫定対策に盛り込んだ。トンネル内では首都高バイク隊を活用した交通誘導や、滞留車両に直接情報を提供することを実施する。

除排雪作業を迅速に行うために、グループ会社、建設会社、舗装会社の応援体制をさらに強化。降雪開始前から凍結防止剤を増量散布し、融雪のために走行させる空ダンプも増車して、雪に弱い区間を重点的に走らせる。国土交通省や他の高速道路会社からの応援を受ける場合の対外調整担当を専任し、その作業計画も事前に策定し、関係者と緊密な情報共有を行う。

2月は1月と比較して、除排雪体制では85班を118班に、凍結防止剤を散布する234班は421班に、空ダンプ走行の235班は421班に、それぞれ増やした。恒久的な対策は、暫定対策で今季を乗り切った後の検証後に定める。

《中島みなみ》

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