豊富な鉄道遺産が北海道を元気にする!?…札幌の道庁赤レンガで開催された「北海道の鉄道 過去、現在、未来」

鉄道 企業動向
圧巻だった「北海道鉄道観光資源地図」。車両展示やトロッコ、体験運転など、活動状況はさまざまだが、これだけの「資源」が北の大地に残っていることに改めて驚かされる。
  • 圧巻だった「北海道鉄道観光資源地図」。車両展示やトロッコ、体験運転など、活動状況はさまざまだが、これだけの「資源」が北の大地に残っていることに改めて驚かされる。
  • 北海道の鉄道の歴史に関するパネルを中心に展示されていた会場。釧路市で開催されて好評を得ていた、簡易軌道に関する展示も人々の注目を集めていた。
  • もっとも人気を集めていた鉄道模型の大型ジオラマ。急行『ニセコ』や『北斗星』など、Nゲージによるフル編成が縦横無尽に走り回っていた。
  • 鉄道ジオラマのなかには、1969年に廃止された定山渓鉄道の豊平駅舎の模型も。実際のホームには札幌軟石が使われていたが、模型のホームにもその軟石が使われているというこだわりぶり。
  • 711系電車の実物のシートも展示された。シートをそのまま床置きするわけにはいかないため、土台造りに苦労したという。
  • 711系シートの外側は、実物に近い塗色を施した板に、車号や行先表示板、愛称札を付けるというこだわりぶり。
  • 新橋~横浜間の鉄道開業以前に存在していたという、茅沼炭鉱の軌道で使われていた「日本最古のレール」。この軌道は、石炭を積んだトロッコを滑り落とすように動かし、上りでは牛馬にトロッコを牽かせていたという。レールは木製のものに鉄を被せたという。
北海道の鉄道は、JR北海道の経営不振で「元気がない」とよく言われる。たしかに、連日流れる「当社単独では維持困難な線区」に関する報道を見るにつけ、「数年先は真っ暗」と思われてもおかしくない状況ではある。

しかし、札幌から遠く離れた陸別町の旧北海道ちほく高原鉄道跡で、気動車の体験運転を行なっている「りくべつ鉄道」が、今年は過去最高の入場者数を記録したという報道を見ると、地域の足としての存在にこだわり続け、鉄道を衰退させていくパターンは時代遅れではないかと思わざるを得ない。

りくべつ鉄道に限らず、民間・地域レベルで北海道の鉄道をもっと知ってもらい、元気にしたいとする活動は、近年、少しずつ実を結びつつある。11月25・26日に札幌市で行なわれた「北海道の鉄道 過去、現在、未来」という企画展も、そのひとつだ。

北海道150年事業にちなんで開催されたこの企画展は、北海道の鉄道の過去から未来までを、豊富なパネルを中心に紹介。鉄道のことに詳しくない人にも鉄道の魅力を伝え、興味を持ってもらうことを目的に、任意団体の北海道鉄道観光資源研究会が主催した。

同会は2014年1月に設立され、北海道で観光列車を運行するためのモニターツアーを実質的に主導し、道南いさりび鉄道の観光列車の立ち上げにも参画した、永山茂さん(日本旅行勤務)が代表を務める。

会では、岩見沢市における旧JR北海道711系電車の保存活動や、長沼町で保存されている旧夕張鉄道のSLの再塗装活動なども手がけており、北海道に残る鉄道遺産を活用しながら、鉄道を元気にしていく方策を模索しているという。

今回の企画展は、そんな活動を広く伝えるという点でも意義があったようで、2日間でおよそ3000人の来場者を数えた。筆者は開催2日目の午後に会場を拝見させていただいたが、子供連れの家族や、外国人観光客なども数多く見かけられた。

とくに、日本最初の鉄道と言われている茅沼(かやぬま)炭鉱軌道で使われていた「日本最古のレール」の前では、「最初の鉄道は北海道だったのか…」と目を丸くしていた方も。これについては諸説があり、鉄道の仲間に入れることに疑問符を付けている人もいるようだが、トリビア的にはかなりの関心を引いていたようだ。

予想以上の盛況ぶりに関係者も驚きを隠せずにいたが、旧北海道庁赤レンガ庁舎という、北海道の超一級観光名所で行なわれたことも大きいだろう。ひとつの任意団体が、官の1等地で鉄道イベントを行なうのは異例のことだが、これも、JR北海道の問題で、深く関与することを期待されている北海道が、鉄道に敏感になってきていることの現れではないだろうか。

会場内では、鉄道模型の大型ジオラマや711系電車の実物シートに人気が集まっていたが、筆者が一番注目したのが「北海道鉄道観光資源地図」。頭ではわかっていたが、地図上に示されると、北海道がいかに鉄道遺産の宝庫であるのか、改めて驚かされる。

広大な土地に加えて、廃止された路線もかなりの数に上っているので、遺産もそれなりにあるのは当然かもしれないが、これだけの「宝の山」が、残念ながら点在しているだけの状態なのは歯痒いばかり。今後は横断的に活用されてほしいと願うばかりで、北海道が取り組もうとしている観光列車への期待が膨らんだ。

代表の永山さんによると、今回の好評ぶりを受けて、早くも来年の開催に向けて意見交換がなされているということで、JR北海道の状況と並行して、いわゆる「外野」的な活動にも目が離せなくなりそうだ。
《佐藤正樹(キハユニ工房)》

編集部おすすめのニュース

特集