今月 8 日に 9 年ぶりの安値を付けたリンギの対米ドル為替レートについて、ペッグ制の導入によってアジア通貨危機を乗り越えたマハティール元首相は、「再ペッグ化もリンギ安定のひとつの策だ」と述べた。
マハティール氏は、「マレーシア経済のファンダメンタルズが強固であるにも関わらずリンギが下がっているが、これは政治的な要因だ」と指摘。同氏がペッグ制導入を決めた際には為替ブローカーがリンギを売りせびったことが原因で起きていたが今回は政治的な要因だとし、1MDB問題などでナジブ・ラザク政権を批判している自分こそがリンギ安の原因だと自嘲気味に語った。
輸出産業や観光産業ではリンギ安容認の声が強いが、輸入に頼る加工貿易などはリンギ安への懸念が強い。ただ中央銀行バンク・ネガラのゼティ・アクタル・アジズ総裁は「国内の強固なファンダメンタルスを反映しておらず、一時的なもの」と楽観視している。シンガポールのユナイテッド・オーバーシーズ・バンクのエコノミスト、ホー・ウェイチェン氏は「バンク・ネガラが投資家の信頼を損なうような再ペッグ化を検討することはないと思う」と再ペッグ化の可能性が低いとの考えを示した。