経産省「ふるさとの名物」発掘プロジェクト…全国から500品を選定

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経済産業省 クリエイティブ産業課長 佐合達矢氏
  • 経済産業省 クリエイティブ産業課長 佐合達矢氏
  • 経済産業省 クリエイティブ産業課長 佐合達矢氏
  • クールジャパンによる地方活性化
  • ふるさと名物発掘・連携促進事業の概要
  • 目利きによる発掘とストーリーブックによるPR
  • 発掘の基本方針
  • 対象となる商材カテゴリ
  • 選定基準

 14日、経済産業省は「ふるさと名物発掘・連携促進事業」として「The Wonder 500(ザ・ワンダー・ファイブハンドレッド)というプロジェクトをスタートさせると発表した。

 同プロジェクトは、クールジャパンによる地域活性化を進めるため、各地に埋もれた名産品や特産物の中から世界に誇れるようなものを500品目ほど選定し、ブランド化して世界にアピールさせることを目的としている。経済産業省 クリエイティブ産業課長 佐合達矢氏は、「クールジャパンというとアニメやJ-POPなどコンテンツやカルチャーの領域が浮かぶが、文化・歴史を背景とした物や地域など世界に評価されるものはたくさんあるはず」とし、伝統工芸品・特産品や観光などの分野でもクールジャパンを世界に広めたいと説明する。

 事業の柱は3本あるといい、ひとつは「ふるさと名物」を発掘する活動。発掘は「The Wonder 500運営事務局が選んだ25名程度のプロデューサー(目利き)と、同事務局が実施する公募によって行う。もうひとつは名物のネットワークを拡大させる活動。全国各地でセミナーや交流イベントを実施し、事業者どうしのマッチングや販路拡大に関する情報共有といった支援プログラムが組まれる予定だ。そして3つめは、それらを国内外のバイヤー、消費者に対するPR&マーケティング活動だ。この活動では、海外のイベントで各国のバイヤーや消費者に、選定された名物を紹介し、アウトバウンドビジネスを開拓していく。

 名物の発掘はプロデューサーと公募によって行われるが、500品目の選定は別に組織される審査委員が行う。対象となる商材は、伝統工芸品・家具・雑貨・衣類などの「ものづくり」、食材、お菓子、調味料などの「食」、そして各地の特産品の産地、地域の良さを伝える場所、体験プログラムなどの「観光」の3分野としている。500品目としたのは、47都道府県から10商材ずつ選ぶことを考えての設定だという。

 選定された商材については、海外を含めて効果的なPRやブランディングをするため、ウェブサイトやストーリーブックなど(ともに多言語対応)で情報発信も行われる。

 500商材の発掘はすでに始まっており、公募は5月18日よりスタートし6月12日が締め切りとなっている。商材の発表は9月上旬までに行うとしている。ストーリーブックの制作は7月8月にかけて行われる。商材が発表されたら、国内各地でのセミナーや交流イベント、海外を含むPR・展示イベント(3回程度を予定)が2016年3月までに実施される予定となっている。

 クールジャパンや地方創生に関する政府のプロジェクトや補助金事業については、一方でその効果に疑問を呈する声も存在する。補助金に依存した支援事業が、中央と地方の対等な関係を阻害し、補助金の獲得が目的化し、お金をもらったら終わりとなり、実際の地方創生や活性化に効果をもたらしていないという意見だ。

 この「The Wonder 500」は名物の選定とブランディング、イベントでのPRなどは行うが、選定された事業者に直接お金が下りるわけではない。販促に関するアドバイスや支援、そして海外での展示会での紹介はしてくれるが、設備投資や運転資金への直接的な援助はない。つまり、ブランディングとアドバイス、情報発信は支援するが、事業を展開するのはあくまで事業者だ。この意味で、これまでの補助金事業とは一線を画すものといえるだろう。

 佐合氏によれば、経済産業省としてこの事業のKPIは、選定事業者の海外成約件数や出荷数、イベントを含む海外メディアでの露出(宣伝費換算が可能)などになるとし、これらによって事業の継続は判断されるそうだ。しかし、ブランディングの根拠のひとつなる国のお墨付きともいえる「The Wonder 500」に選定されたというステータスは、この事業が継続されてこそ生きてくるはずだ。このような事業を始めるなら、ぜひ次年度以降も継続してほしいところだ。

「The Wonder 500」始動――地方特産品を世界にアピールするプロジェクト

《中尾真二/HANJO HANJO編集部》

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