学校や職場での集団ヒステリーがたびたび報告されるマレーシアだが、このほどマレーシア・パハン大学(UMP)が「抗ヒステリー・キット」なるものを発売し物議を醸している。
「邪悪な精霊」を追い払う効果があるという、塩やコショウ、箸、ライム、酢などありふれた日用品を詰め合わせただけのものだが、イスラム伝統医療の専門家などが3年かけて開発したと謳っている。価格は1キットが8,750リンギもするが、ダイング・ナシル副学長は「コーラン(クルアン)やハディース(ムハンマド言行録)にも邪悪な霊は塩や酢、香辛料などに耐えられないと書かれている」と主張。教育省からも同研究のために18万9,000リンギの補助金を受けていると、正統性を強調している。
同州ムフティ(宗教指導者)も、「イスラムの教えに準じている限り問題はない」と「抗ヒステリー・キット」を支持する考えを示した。
一方、マレーシア精神医学協会は、ヒステリー症状に現代医学の専門家による治療を受けないでも治ると大衆に思わせる報道は問題だと指摘。ヒステリーは専門家が永年研究を行っており、きちんと医薬ガイドラインに則った治療を行うべきだと批判している。