北陸新幹線開業でも「金沢一極集中では意味がない」…石川県の観光戦略

鉄道 行政
観光戦略推進部長の普赤清幸氏
  • 観光戦略推進部長の普赤清幸氏
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 北陸新幹線開業で東京ー金沢間が2時間28分と近くなる。これにより北陸では、観光客誘致に向けた様々な動きがみられる。40年以上かかった悲願の開通。石川県はどような観光戦略を考えているのか?同県観光戦略推進部長の普赤清幸氏に話を聞いた。

――北陸新幹線開業で石川県はどのように変わるのか?

普赤氏:そんなに大きくは変わらない。変わらないほうがいいと思っている。ただ、そうは言っても、石川県は素材もいい、技もいい、器もいいという材料がある。トータルで本物の和食を食べて知っていただきたいと思っている。

そのために今回は「百万石の鮨」という企画を実施している。これは金沢を中心に27店舗の一流どころのお寿司屋さんが地元のネタや器にこだわった10貫3,800円ぽっきりのメニューを提供するというもの。石川県に来ても、お寿司屋さんは敷居が高くては入れないし、特に旅先では尻込みしてしまうもの。今後加盟店を増やしていくので、是非、この機会に食べていただきたい。また、「金沢おでん」は地元の素材を使いつつ関西系の透き通ったダシが特徴。店舗数でいったら、人口当たり全国で一番多い。加賀料理も一定の値段で提供できるように、加盟店を募るなど調整中だ。料亭は尻込みするでしょ。その怖さをなくし、敷居を低くして本格的に奥深い加賀料理を食べていただきたいと思っている。さらに「もっと石川」「ちょっと石川」というフリーペーパーをオリジナルで今年制作するなどアピールは行っている。

――「食」以外ではどうか?

普赤氏:金沢城、兼六園、玉泉院丸庭園のライトアップを行う。玉泉院丸庭園は新たに整備された庭で、時間とともにライトアップが変わる。

――観光のピークはあるのか?

1年を通して平均している。冬場だけばちょっと落ちる。2,100万人を見込んでいる。

――今後、その観光人口をどのくらい増やしていこうとしているのか?

現在、3大都市圏でいうと首都圏から230万人、関西から250万人、中京からが200万
万人という具合だ。これを首都圏を倍の500万人にしたい。3大都市圏で約1,000万人にきていただきたい。今はとにかく遠い。JRが「行きたかった、あの日本へ」とPRしているが、まさにこれが東京のみなさんの心境だ。「行きたかったけど遠いよね」と。でも北陸新幹線の開通で今度2時間28分で東京までつながってしまう。心理的にも違うし、認知度上がれば荒唐無稽な話ではなく、目指すべき数字だ。

――課題はどこにあるのか?

課題は、金沢一極集中にしないこと。今「能登、加賀へ」というのを進めている。加賀は昔ながらの温泉郷があり四温泉、能登には和倉温泉がある。日本の原風景を感じながら、素朴な料理と温泉で癒しを体験していただきたい。NHKの連続テレビ小説では能登地方が舞台になるので、その効果も期待している。ロケ地を知っていただき、リピーターになってもらいたい。

――実際に加賀、能登に観光客を誘致するにはどうしたらよいか

金沢プラスワンで能登へ行く旅行商品を募集したり、それぞれの地域で実施するキャンペーンを用意している。

――観光地域としてのライバルはどこになるのか?

京都という見方もあるようだが、特に京都は意識していない。京都は世界的にガリバーであり、京都を超えるのは無理。京都は公家で、こっちは武家とかいろいろあり、それは大切にしなければいけないが、勝つなどということにはならない。金沢のポテンシャルとテイストの異なる能登・加賀をトータルでアピールしていく。

――県内の交通機関に変化はあるのか?

一昨年3月31日から能登有料道路は「のと里山海道」として無料化した。

――富山と福井に対しては?

スクラム組んで北陸というくくりで相乗効果を狙っていかねばならない。打ち消しあってはいけないと思う。今度は北陸デスティネーションキャンペーンを実行委員会形式で実施予定だ。

――新しい観光のスタイルはでてくるのか?

新しい視点はでてくるだろう。ものづくり、工場見学とか、昔は見向きもされなかった農業体験とか……。「春蘭の里」では入り込みが1万人を超え、外国人観光客も4万人を超えている。パビリオンを作る、外国人に合ったものを用意するなど新しいことをやるのではなく、その地域が昔からやってきたことをしっかり紹介するのがいいと思う。

――2020年のオリンピック需要に関しては?

認知度を上げるとともに受け入れ態勢をしっかりすることも重要だ。飲食店には、少なくとも外国語のメニュー表を置いたり、トイレの洋式化を進めたりしている。Wi-Fiの整備も着実に行っていく。

――首都圏からのアクセスが便利になってしまうと日帰りゾーンにはならないか?

そこは心配している。さきほど挙げたライトアップや食事など夜の楽しさもアピールし、宿泊をしていただきたい。

――宿泊数を増やすと?

観光者数という見方よりも、宿泊数を増やしてほしい。現在、宿泊平均は1.38日。これを少しでも伸ばしていくのが目標だ。そのためには金沢だけではなく、能登や加賀への宿泊もアピールしていく必要がある。また、若い世代に対しては修学旅行も重要。年取った時にまた行こうと思ってもらうことも大切だ。

【北陸新幹線開通・金沢特集】「金沢一極集中では意味がない」……石川県観光戦略推進部長・普赤氏

《編集部@RBB TODAY》

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