セランゴール州のカリド・イブラヒム州首相が同州与党・人民同盟(PR)構成党、人民正義党(PKR)の方針に反して居座っている問題で、これまで乱れていたPRの足並みがようやく揃い、PKRが推薦するワン・アジザ氏を統一後任候補として推すことで一致した。
党の方針を無視したカリド氏はPKRを除名されたが、州首相続投をスルタンからお墨付きを得て居座っていた。そのイスラム主義から当初カリド氏支持を表明していた汎マレーシア・イスラム党(PAS)は、ワン・アジザ氏擁立に難色を示して譲らず、17日の党中央執行委員会会議に最終決定を持ち越していた。
PAS最高評議会は、もはやPKR党員でないカリド氏を支持することはできないとの意見が通ってカリド氏の更迭を同意すること、また後任としてアズミン・アリPKR副党首をたてる対案を出すことを決めた。その後に開催されたPR構成党の党首会議では、PKRはワン・アジザ氏擁立を固持、友党の民主行動党(DAP)も同道したことから、PR内の結束を優先すべきということでPASが折れ、ワン・アジザ氏擁立を最終的に了承した。
スルタンは議会で多数派の支持を得ているとのカリド氏の言い分を認めて留任に同意した経緯があり、多数派の支持が得られていないことが明らかになった現在、カリド氏の更迭に同意するとみられる。
PRを率いるアンワル・イブラヒム氏(PKR顧問、元副首相)は、ワン・アジザ氏を擁立することがPRの総意であることをスルタンに説明し、州首相交代の手続きを粛々と実施すると述べた。
PASから見放された格好のカリド氏は、PASの判断を尊重すると言明。スルタンによる最終的な裁定が下りるまで、自身を支持するPASの最高評議会評議員(国政の閣僚に相当)4人と共に州政を担うつもりだと述べた。
ワン・アジザ氏は夫であるアンワル氏が同性愛裁判で有罪判決を受けたため、3月に行われたカジャン補選に代理出馬し当選していた。