【インタビュー】安全に関わるタイヤバルブ、品質管理の重要性…マルエム 営業本部 田中重人 統括部長

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マルエム 営業本部の田中重人 統括部長
  • マルエム 営業本部の田中重人 統括部長
  • マルエム製タイヤバルブ
  • 全て自社オリジナルの金型で作られるバルブには「MARUEMU」の文字が入っている
  • マルエム製ドレスアップ用プラグカバー
  • マルエム製ドレスアップ用プラグカバー
  • マルエム製のタイヤウェイト
  • マルエム製のタイヤウェイト
  • 中国の工場で行われている、キズや変形の目視検査

タイヤに空気を入れるときに使うタイヤバルブは、ドライブ時の安全性を保つ重要なアイテムだ。その製造工程や品質はどのように管理されているのだろうか。

創業以来40年に渡って、タイヤバルブやホイールのウェイト(バランス調整のための錘)の製造を行う、マルエムの田中重人 営業本部統括部長に聞いた。

安全に直結するタイヤバルブ

タイヤバルブのエア漏れはタイヤの破損やバーストにも繋がるため、その品質と日常の点検が重要になってくる。田中氏は「2年に1度くらいを目安に交換すべきものですが、融雪剤の影響や海側の地域など、耐久性は使用する環境によって変化します。タイヤと同じで、長く使えば使うほどひびが入ったりもするので、車の運行前点検の際に、バルブのチェックも含めてもらいたい」と話す。

通常は、タイヤ交換時にはバルブも交換したほうが良いとされている。バルブ交換だけでも工賃は発生するので、タイヤが減るくらい使用したものは交換しておいて損はない。

同社でのタイヤバルブ製造は、自社の金型を使い、JIS規格に則って厳密に行っているという。また、使われるゴムの配合についてもこだわっている。田中氏によれば、「柔らかさを求めると耐久性が落ちてしまいますし、逆に硬すぎると整備の際に作業を行う人が使いづらくなってしまう。そのバランスを見極めて、一定のラインで保つように調合しています」とのことだ。

徹底した工程管理とチェック体制

マルエムのバルブが作られているのは中国。製造コストを考えてのことだが、田中氏によれば「徹底した品質管理を行っている」という。上海の工場でバルブ本体を作っているが、出荷前の検査は現地工場での全数検査に加え、日本に届いてからも耐久性や環境性能検査などを行うダブルチェック体制をとっている。全数検査の内容は、機器を使ってエア漏れがないかのチェックと、作業員の目視によるキズや変形のチェックだそうだ。さらに国内では、オゾンによる劣化のテストや機器で引っ張ることでの強度テストなども行う。

日本での検査で1つでも規格外品や不良品が見つかれば、そのロットにおける全数の出荷をストップし、検査のやり直し、ラインのチェックなどを行う。調査や原因を特定するため、当然製造ロットは日時・時間までわかるように管理されている。田中氏は「ゴムの固さと耐久性も最適な組み合わせになるよう決めています。国内大手メーカーの製品と比較しても遜色ないように、製品の特性を測定し、テストを行っているので、品質には自信があります」と述べる。

中国の工場とは、マルエムの品質管理に対応できるようにと、協同して一からバルブづくりをスタートさせた。そのため、製品や品質に関して意識共有ができているという。また、現地エンジニアの研修なども行っており、教育、技術力やスキルの向上にも余念がない。

バルブカバーによるドレスアップの提案

現在はチューブレスタイヤがほとんどなので、タイヤバルブはホイールの穴に圧入する形で装着する。パッキンをかませてナットで止めるタイプのものもあるが、多くはゴム製である。

マルエムは、ホイールから飛び出しているそのゴム部分にかぶせて使う、クローム製のドレスアップ用プラグカバーも販売している。クロームメッキされたスチール製の筒をバルブのゴム部分にかぶせると、パッキンとなる部分のテーパーに合わせてすっぽりとはまる。キャップも付属するので、ホイールとの一体感やコーディネートの完成度は高い。カバーなのでゴム部分の保護にもなっている。

小さな部品だが、ホイールのカラーコーディネートやワンポイントに使えると好評を得ている。マニアにとっては、細部のこだわりアイテムとしてうれしいものといえるが、高額なものではないため、一般ユーザーも手を出しやすく気軽に楽しめるのが人気の秘密のようだ。

田中氏は、「最近は新車でも純正のアルミホイールの設定が増えて装着する人も増えています。ゴム製の黒いタイヤバルブも1つ数百円でクロームメッキ仕様にできる、という手軽さが喜んでもらえているようです」と語る。単価は安いが、よく出る商品とのことでピット作業の売上にも貢献できる(田中氏)という。安い分、タイヤ交換などピット作業での提案で反応は良いそうだ。

マルエムはホイールのバランスウェイトの製造も行うメーカーだ。同製品においても品質のこだわりは細部に及ぶ。重さの精度についてプラス側の重量誤差をゼロにしたり、高温、低温でもはがれない専用の両面テープを使用。ウェイトの断面を台形にすることで曲面に貼りやすくするという工夫も凝らす。

安全性への配慮を一番に、ユーザーの使い勝手や作業性まで見据えた製品づくりと、徹底した生産体制が、同社製品の品質を保ち続けていると言えるだろう。

《中尾真二》

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