内部・八王子線の運営会社「あすなろう鉄道」設立

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近鉄内部・八王子線の路線図。2015年春から四日市市が施設を保有し、四日市あすなろう鉄道が列車を運行する新体制に移行する予定。
  • 近鉄内部・八王子線の路線図。2015年春から四日市市が施設を保有し、四日市あすなろう鉄道が列車を運行する新体制に移行する予定。

近畿日本鉄道(近鉄)と三重県四日市市は3月27日、内部・八王子線の運営を引き継ぐ新会社「四日市あすなろう鉄道」を設立した。

内部・八王子線は、近鉄四日市~日永~内部間5.7kmを結ぶ内部線と、日永~西日野間1.3kmを結ぶ八王子線で構成されている近鉄の鉄道路線。2本のレール幅(軌間)は762mmで、JRの在来線(1067mm)より狭い。

内部・八王子線の輸送人員は1970年度の722万人をピークに減少が続いており、2011年度にはほぼ半分の363万人にまで落ち込んでいた。その一方、特殊な軌間を採用していることから通常の鉄道より維持コストが高く、近年は毎年3億円弱の赤字が続いている。

こうしたことから近鉄は2012年8月、線路敷地をバス専用道に改築してバスを走らせるバス高速輸送システム(BRT)の導入を提案したが、沿線の四日市市との協議が難航。最終的には四日市市が内部・八王子線の施設と車両を保有し、四日市市と近鉄が設立する新会社が施設と車両を無償で借り受けて列車を運行する、いわゆる「公有民営方式」での存続が決まった。

あすなろう鉄道の資本金は5000万円。近鉄が75%、四日市市が25%を出資する。近鉄と四日市市によると、社名の「あすなろう」には「未来への希望(明日にむかって)や、内部・八王子線の特徴であるナローゲージ(特殊狭軌線:線路幅が762mm)、将来にわたり市民の皆様とともに育てていく鉄道」という思いを込めたという。

今後は2014年度中に地域公共交通総合連携計画と鉄道事業再構築実施計画の提出・認定申請を行う予定。実施計画が認定された場合、四日市市は内部・八王子線の第3種鉄道事業者、四日市あすなろう鉄道は第2種鉄道事業者となる。新体制による運営開始は2015年春からの予定。

《草町義和》

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