トヨタ自動車の新型『ノア』、『ヴォクシー』は、後席スライドドアからの乗り込み口をノンステップ化する一方で、地上高をクラストップの360mmに抑えた。チーフエンジニアを務める水澗英紀氏は「乗り込み高さ360mmを絶対やりたかった」と語る。
水澗氏は「今回、3代目を担当するにあたって一番考えたのは、なぜこのクラスを買われるお客様の数が減らないのか、他の車では変えられない魅力があるはずだということ。そこで重視したのが室内の広さや乗降性、こうした基本性能を上げたのが最大のポイント」と語る。
このうち乗降性については「人間が足を上げてステップを登る際、最大筋力の30%を超えると負担になる。360mmというのは身長が150cm以上であればそれほど負担にならない高さ。150cm以上というと女性を含めた成人の96%をカバーすることになる」と説明。
2代目も乗り込み口の高さそのものは360mmだったが、フロアはさらに1段高くなっていた。しかし新型ではフラットフロアを採用しながらも、乗り込み口の高さは360mmを実現した。
低床化するための方策として「部品として薄くしたのは燃料タンク、またリアサスペンションのトーションビームは部品をよけられるように従来は1回しか曲げていなかったのを複数回曲げるようにした。また上から見た時の燃料タンク、リアサス、排気管のレイアウトをFF、AWD、ハイブリッドそれぞれの基本性能を満たしつつ、最適配置した。決してハイテクなことはしていないが、360mmを実現するために1mm、2mmの努力を積み重ねた」と述べた。