JAXA、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」の成果を公表…全球均一での観測を実現

宇宙 テクノロジー
温室効果ガス観測技術衛星GOSAT4(JAXA資料より)
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の定常運用段階の成果をまとめた。

「いぶき」は現在、打上げから5年間経過したが、正常に運用されている。発生電力は運用に必要な電力に対して十分な余力があり、残推薬は現在約90kgと、今後14年程度運用可能な量が残っている。

これまでの不具合は、太陽電池パドルNo.2(SAP-2)駆動制御部で使用しているハイブリッドICの出力異常でSAP-2回転が停止するトラブルが発生した。偶発的に発生した部品の故障が原因と判断し、パドル駆動系を冗長系に切り替えて運用を継続している。

温室効果ガスであるCO2とメタン濃度を観測しているが、CO2濃度は目標4ppmに対して実績は2ppmを達成、メタン濃度は目標36ppbに対して実績は13ppbを達成している。

CO2吸収排出量の算出と推定誤差の低減では、衛星データを用いた月別吸収排出量を世界で初めて算出した。「月別CO2ネット吸収排出量を算出し、亜大陸レベル(約7000km)の推定誤差を半減」が目標に対して、世界を64分割した区域(陸域約3000kmメッシュ)の推定誤差半減以上を達成した。

また、GOSATの観測によって従来の地上観測では困難だった温室効果ガスの濃度について、全球均一な観測を実現したのに加え、GOSAT観測データを取り込むことで、推定誤差を最大50%以上低減できたとしている。将来の効果的な地球温暖化政策の立案に役立つことから、環境省は重点政策の一つとして後継機GOSAT-2を計画している。

このほかの成果としては、世界で初めて衛星からクロロフィル蛍光の全球分布を観測、植物からの全球分布、季節分布が明らかになった。オゾン全球濃度分布観測で、南極域のオゾン濃度の低下も捉えた。

《レスポンス編集部》

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