鉄道・箱庭・経営、全方位のおもしろさが進化! 『A列車で行こう3D』飯塚ディレクターインタビュー

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飯塚正樹ディレクター
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鉄道会社の社長となって、会社と都市を成長させる。アートディンクの『A列車で行こう』シリーズは、日本の風景で遊べる箱庭ゲームであり、列車の運行を楽しむ鉄道ゲームとしても多くのファンがいます。そして2014年2月、『A列車で行こう3D』が誕生しました。ファン待望のニンテンドー3DS版です。

開発ディレクターはニンテンドーDS版『A列車で行こうDS』を手がけた飯塚正樹氏。前作から約5年、前作のファンには全方位の進化を提供し、始めて遊ぶ人には前作と同様の丁寧なチュートリアルを用意したそうです。その『A列車で行こう3D』のおもしろさを、開発者自身に語っていただきましょう。

■鉄道に詳しくないから、おもしろい鉄道ゲームができた?

―――画面を回転させるときのエフェクトがすごいですね。にょわーんと。

飯塚(以下略): 画面回転はね……ちょっと前作のさくさく感が失われているんですけれども。

―――これは意図的な効果では無いんですね。

ちょっとした時間稼ぎなんです。この間にウラでいろいろと処理していまして。前作は列車が箱だったけど、今回はいろいろパターンを持たせて、そのうえデザインも自由にできるようにしました。そうすると、クォータービューの描画は3Dでは無いので、内部のプリレンダリングという処理を方向ごとにやり直さなきゃ行けないんです。そこに時間がかかるので、エフェクトで見せているんです。

―――でも絵がきれいになって要素も増えたせいだったら、そこはトレードオフですよね。

そうなんですよね。

―――飯塚さんには前作『A列車で行こうDS』の時もインタビューさせていただきました。鉄道好きな方かな、と思ったら、実は鉄道にほとんど興味がないとか、詳しくないし趣味でもないと。鉄道趣味をバッサリと切り捨てましたね(笑) 

そうです。ホントに知らない。前作のインタビューの時に、記者さんに言われたじゃないですか。「駅で機回しできないんですか」って。それ、今回入れたんですよ。

―――それはありがたいです。『A列車で行こう』シリーズの伝統的な仕様で、機関車牽引列車が後退運転になると、速度が遅くなるんですよね。推進運転といって、そこはリアルなんだけど、列車が折り返すと機関車が後ろのままだからスピードが遅くなっちゃう。実際の鉄道では、駅などで機関車の前後の位置を付け替えて、先頭を機関車にするんです。それが機回し。やっと採用されて鉄道ファンは大喜びです。

駅で列車の進行方向が逆向きになるときに、列車を反転させて機関車の位置を先頭にするかどうかを選択できるようにしました。

―――パッと切り替わる感じですか。

そうです。だってあのとき「パッと切り替わるだけでもいいから」って記者さんが(笑)

―――(笑)ありがとうございます。うれしいです。PC版でもやってくれないかなあ。そのほかにも、『A列車で行こう3D』は、貨車の種類が増えたり、駅の種類が増えたり、車庫や信号場まで追加されています。ダイヤ設定も細かくなって、けっこう鉄道を研究されたようですね。

それは研究しましたよ。今回も「鉄道が趣味の人」「箱庭ゲームが好きな人」「経営が好きな人」それぞれに対してフォローしてあげたいという想いがありました。鉄道が趣味な人の気持ちがよくわからないというのは本当です。ただ、要望はたくさん来るので、なるべく採用してあげたいなと。

―――線路改築では架線柱をつけられる。線路と言えば、今回からカーブの勾配もありますね。高架線路の防音壁もかっこいい。ユーザーの意見をかなり取り入れたようですね。

そうですね。いろんな人から意見を集めた感じです。そんな飾り付けって意味があるのかなあ、なんて思いつつ(笑)。要望が多い物はなんでも取り入れていこうとがんばりました。

―――鉄道好きな人の気持ちは、どんな風に把握していらっしゃるんですか

A列車で行こう関連の掲示板、アマゾンなど通販で前作の商品レビューを読んだり。ユーザーのブログも検索して読んでいます。

―――あれ、つまり、実現してもらいたい機能がある人は、ブログでも掲示板でも、具体的にわかりやすく説明してあげたら採用しやすくなるかも?

そうですね。専門用語が出てくると、またそれを検索して調べたりするんです。

―――専門用語を出すなら、それも説明してくれたらうれしいな、という感じ?

前作のインタビューで「機回し」って言われちゃったんだけど、じゃあその機回しってなんだろうって、検索して調べて、やっと把握。

―――それは失礼しました(笑)。その場でご説明すれば良かったですね。そうやって研究しているうちに、本当は鉄道好きになったんじゃないですか。

ぜんぜんならないです(笑)。ほんとにね、不思議なくらい興味がわかない。

―――またまたぁ。実は「寝台特急カシオペアに乗りたいなー」なんて。

ないんですって。電車通勤すら嫌なんですから。

―――混雑した通勤電車は、鉄道ファンでも乗りたくないですよ。それはともかく、鉄道への関心が低いからこそ、客観的に「鉄道というシステムのおもしろさ」をゲームに反映できたとも言えそうですね。

鉄道に対してこだわりがないから、ユーザーの要望の大きいところ、ゲームに反映して面白そうなところを取り込んで、鉄道好きではない人も楽しめるように作れたんだと思うんです。

■箱庭ゲームとして駅や列車、建物を増やした

―――『A列車で行こう』シリーズの楽しさって、人が移動すると街が大きくなるってところですよね。

鉄道ゲームと言うより、街作りゲームの楽しさだと思うんですよ。箱庭ゲームファンや経営ゲームファンの気持ちは理解できるんです。

―――箱庭的なおもしろさは、どのようにパワーアップしましたか。

まず建物がたくさんないと。建物は増やしました。とくに大きいサイズの建物が増えました。前作でほとんどの子会社の向きが固定だったんですけど、2方向に回せるようにしました。4方向に対応させたかったけど、グラフィックの容量が増えちゃう。グラフィックを増やすなら、新しい建物を追加したいなと。今回は時代の再現で、同じ種類の建物でも複数あったりしますし。

―――ひとつの建物には新旧の2パターンがあって、そうすると新旧で前作の建物の倍はありますね。建物の種類自体も増えてますか。

種類自体も増えてます。そもそも新しい時代にしか無い建物もあります。1955年くらいで遊ぶと、まともなビルすら建てられないんです。

―――そうか。ぜんぶ木造! みたいな。

面白い建物で言うと、風力発電所や観覧車が動くようになったので見栄えがします。

―――風力発電については、電力の概念があるとか。

電力の概念は無いです。線路も架線柱は着けられるようにはなりましたけど、列車について電化非電化の区別はしていません。それはゲームの楽しさにつながるか、という意味では違うかもな、と。でも、さきほどのブログの話ですけど、そこが面白いんだよ、とわかりやすく説明してくれたら、納得して採用したかもしれないですね。

―――建物と言えば、駅も増えましたね。高架駅は道路と立体交差だから、バスがスムーズになって、街に良い影響がありますよね。

鉄道の駅の種類や車両の形を増やすのも、箱庭作り的な部分で、いろいろあると楽しいからです。そこは鉄道好きと箱庭好きの楽しさを叶えられたと思います。駅ビルがあると、発展の勢いが増します。地上駅と橋上駅は同じ機能。今回やってみてわかったんですけど、地上駅は拡張が簡単なんですよね。駅舎から遠い方のホームを増やしていくだけです。でも、橋上駅って両端が線路を挟んでいるから、ホームを増やすと立て替えになっちゃうんですよ。その意味では、橋上駅のメリットってあんまりないのかなあって。

―――実際の橋上駅も拡張ってあまりきかないです。メリットとしては、線路の両側にふたつの駅舎を置くより、駅舎をひとつにできて管理しやすいことでしょうか。駅舎が線路とホームの上なので、用地が少なくて済むというメリットもあります。用地問題はゲームでもメリットがありそうですよ。


■ホームに人がいる、自家用車が走る

―――ホームに人の姿がある。道路に自家用車が走っていると話題になっていますね。

十分なレベルではないかもしれませんが、動かせるところまでできました。人の方はカメラモードだけなんですよ。クォータービューでは見えないです。

―――ホームにいるお客さんの数は、乗降客数と連動していますか

はい。同じ数では無いですが、比例しています。実際にお客さんがたくさんいれば、ホームにたくさん並びます。正確に連動させると大変な数になってしまうので、カメラモードのお客さん1人が、乗降客何人分かを表す感じです。ホームに1000人のお客さんが待機しても、それをカメラモードでは表示しきれないので、比例する数に抑えると。

―――自家用車はどんなアルゴリズムで動いているんですか。

モブ車としてそのへんをランダムに走っている感じです。

―――バスやトラックが渋滞にはまるとか。

ありますね。信号待ちもあります。

―――自家用車は増減しますか。

「公共交通の利用率」というパラメータをもたせています。公共交通の利用率が下がると、街の人々が自動車に乗り始めるという感じです。明らかに増えたぞとか減ったぞとかわかるほどでは無いんですけれど、パラメータ的には数字を持っています。「公共交通利用率は70パーセントです」とキャラクターが教えてくれます。その数字によって、自家用車が増えたり減ったりします。最大で100台くらい動きます。

―――箱庭ゲームとして、都市が賑やかになりましたね。

人に関してはあきらめていたんですよ。そう思いつつも、プログラマーには「人を出したいんだよねー」って言い続けました(笑)。「こんなアルゴリズムならどうだ」「なんとか処理が軽い方法で、どうかひとつ」というね。でも、最終的に人がちゃんと歩いたのは、開発の末期の方でした。

―――時代を再現するなら、歩く人の服装も変化しなくちゃですよね……

いちおう、2パターンは用意してあります。でもぱっと服装が替わるという場面は無いです。時代の流れによって徐々に比率が変わるようにして、時代を感じられるかなと。

―――前作からの機能ですけど、駅で人のアイコンが出ましたよね。混んでるよ、とか。あれだけでも、この世界に人がいるっていう雰囲気がうまく表現されていたと思うんですよ。

実際に人が動くと、ずいぶん印象が変わりますよね。

■人々の活動感がある経営ゲームにしたかった

―――経営ゲームとしてパワーアップしたところはどこですか

今回は社員数を反映させています。前作では表に出さなかったんですけど、この会社って、社員は何人いるんだろうって。レポートの画面に「従業員数○○○人」と表示して、一般的な会社情報と似たような雰囲気にしてあげたいと思って。

―――人を意識できる経営ゲームにしたと。

そうですね。いままでは主要な説明部分にキャラクターをたてていましたけど、従業員という概念は少なかったですから。今回は従業員数を出したかったので、それぞれの建物を運営するために必要な人数を設定してあります。社員を雇ったり、リストラしたりというプランもあるんです。あまりにもひどい経営をしない限り、リストラにはならないと思うんですけれども。

―――社員が少ないと子会社が作れないとか。

作れないことはないですけど、前作と同じ要領で子会社を作り続けても、それに合わせて人を雇わないと、一人あたりの業務負荷が高くなり、社員の労働意欲が減ります。そうなると儲からないし、人はどんどん辞めていっちゃう。社員状況が悪くなると年末に退職する人が増えます。

―――列車の運行に支障が出ませんか。

そこまでにはならないですけど、売り上げに影響します。ダイヤ通りに走らなくなってしまいました……ではゲームにならないので(笑)

―――人を雇えば人件費もかかってくるから、ちゃんと儲けなくちゃ行けませんね。これは経営ゲームとしてのパワーアップポイントですね。退職給付引当金なんて項目もある!ここから企業会計に興味を持つプレイヤーさんがいるかもしれませんね。

そうなんです。ネットで見ていたら、A列車をきっかけに会計に興味を持った人がいたんですよ。

―――ほかの経営要素として、固定資産税という項目があります。

固定資産税と言えば、今回は「減価償却」の概念が入りました。会計に強い人に言わせると、減価償却のない経営なんか変でしょって。そこはいままでバッサリと省略していました。建物が老朽化しないんだからいいじゃん、という言い訳ができたんです。でも、今回は時代の再現で建物が老朽化していく。そうなると減価償却も再現しなきゃダメか、みたいな。なかなかないでしょう。減価償却を扱っているゲームなんて。このへんのバランスシートはしっかり作ったんですよ

―――鉄道運賃の値上げ、値下げもできるんですね。

今回は時代が入ったことによって、「物価指数」というパラメータが変化します。時代によってお金の価値がだいぶ違うじゃ無いですか。その時代に合わせて運賃も上げていかないとジリ貧になるんですよ。

―――逆に値下げすると乗客が増えるとか?

あります。だから、値下げして、まずはお客さんの利用率を上げようみたいなこともできるし、値上げしてさらに儲けようなんてこともできます。

―――赤字ローカル線は運賃を上げて採算をよくすべきか、値下げして利用者を増やして人口を増やすべきか、なんて悩めるわけですね。



■新コンセプト「時代」がすべての要素をおもしろくした

―――「時代」という要素で、建物が新しくなったり電車が新しくなりますね。何年から何年まで遊べますか。

一番古い年は1955年です。高度経済成長の時代を遊んでもらいたかった。そこから60年分進みます。選択できる年は2014年までです。

―――DLCに対応とのことですが、今後、2015年以降に新しいデータが公開されるってことはあるんですか。

DLCに機能追加を期待する声もあるようですが、シナリオの配布だけです。機能が追加されることはないです。ていうか、できないはず。

―――2020年頃になると次回作が出ると(笑)

そうですね。未来の方は、ゲームの時代と合わなくなっちゃうかも。

―――「時代」はどのマップも進んでしまう物ですか。ずっと昭和の風景で遊びたいとかできますか。

時代は進んじゃいます。固定はできません。ただ、企画の段階で時代の移り変わりを見せたいって決めたんですけど、どんどん時代が移り変わるって感じでは無いんですよ。意外と時代を進めるって大変です。前作のDS版に比べると、時間の進み方が3倍くらい細かくなったんですよ。全体的にゲームスピードが遅くなっています。

―――時間が経って、新しい建物や電車が増えていくと、時代の進化が現れる。時代が進んでも、路面電車の古い型はずっと使えますか。

それは問題なくできます。ただし、電車も子会社も、時間が経つほど維持費は増えていきます。最終的には1.5倍くらいになります。

―――古い電車で維持費がかかるのは、実際もそうですものね。保存SL列車みたいな運行ができますか。蒸気機関車は貨物だけですか。

いえ、客車もあります。貨物列車は連結する貨車の種類を選べます。その選択肢に客車があって、人を乗せられます。

―――貨物列車と言えば、貨車が懐かしい感じですね。2軸の専用貨車。これって逆に今はないですね。全部コンテナになっちゃって。時代が進むとすべてコンテナ輸送に切り替わるんですか。

それはないですね。結局、現代って、鉄道貨物輸送が廃れちゃってないじゃないですか。ゲームでも、現代になるほど貨物輸送の需要は落ちていくんですよ。

―――資源はマップに埋まっているんですよね。

前作では埋蔵資源の場所が見えたんですけど、石油と石炭については、プラン機能で地下資源を調査しないとわからなくなりました。時間をかけてお金をかけて。

―――まさに一山当てる感覚ですね。木材はマップ上に生えてる木を刈り取るんですね

刈り取ります。減っていきますよ。

―――積み荷が時代の変化に影響するそうですね。

基本的にはどの時代でもすべての資源を輸送できます。ただし、港から海外に持って行くときに大胆に値段が変わります。資源の価格が変わりますし、為替レートが変化します。昔の1ドル360円だった時代と、今の1ドル100円前後の時代と。3倍くらい値段が違う。それは港で取引するときに影響します。資源自体の価格も変わりますから。だから、昔は木材を輸出すると儲かったのに、現代だとまったく儲からない。

―――現代で日本から輸出しても、儲けられる物がなさそうですね。海外から輸入した方がいい場合もありますか。生産するより安いとか。

そうなんですよ。相場観はランダムの要素もあるので。ものによっては儲けられるタイミングがちょっとあるという感じです。現代になるほど輸出と輸入が逆転する感じですね。もともと資材以外の資源に関しては、お金儲けの要素しかないんです。木材や石油が無いと街が発展しない……なんてやると、ただでさえ難しいといわれているのに、もっとむずかしくなっちゃう。そこはハッキリと割りきって、子会社の運営するのと同じで、貨物輸送はお金儲けの手段のひとつとしました。儲かるときだけ儲けてくださいと。

―――時代が進むと儲からなくなる。

やらないほうがいいかもしれないですね(笑)。

―――トラックもそれぞれの資源が使えるんですか。鉄道よりトラックの方が儲けやすいよと。

そうですね。トラックはどの資材を扱えます。

―――それはリアルですね。モータセルシフトと言いますか。

リアルに再現できるかどうかは、遊び方と評価次第かなあ。

■新キャラクターの彼女が気になる 行政指定地域って?

―――秘書が歳を取らないのはなぜ? って声がありますね。

そりゃあ、年取った秘書なんて見たくないでしょう(笑)

―――新キャラクターが登場した、公式サイトの飯塚さんのインタビューでは、30代女性と予告されていました。六本木艶子さんですよね。別のキャラクター紹介のページではアラフォーと紹介されています。

はい。30代のアラフォーです。30代後半の方です。

―――なんとなく年齢が上がったんじゃないかと思うんですけど、飯塚さんの好みがこの数年間で変わったんですか?

違います(笑)。最初からアラフォーの設定でした。

―――成熟した女性がお好みなんですね?

いえいえ、自分が好きというわけではなく、デザインを発注したAさんの趣味かなーと(笑)。

―――女の武器を熟知している、とあるんですが。これは具体的にはどんな?

えーと、キャラの細かい設定については自分は細部までタッチしていないんです(笑)。自由にやってもらったら、ああなったんです(笑)。

―――変なところにつっこみを入れて済みません。今回はシナリオも作れるということで、登場人物のプロフィールも気になるんです(笑)。そのあたり、想像を膨らませて楽しませていただくと。さて、艶子さんは都市開発課長ですから、自治体側の人ですね。

前作では市街化調整区域があったんです。今回は商業地域とか、住宅地域とか、地域設定があるんです。商業地域に商業のビルを建ててくれたら30%の助成金が出るんです。艶子さんの役目はこういう提案をいろいろとすることですね。プレイヤーを街作りに誘導していく役割です。

―――商業地域などは、マップ上に自治体が設定するんですね。

そうです。プレイヤーは直接設定できないんですけど、間接的に関与します。いきなり商業地区になりました、ではないんですよ。商業地区にするべきか検討することになりました、と表示されて、半年くらいの猶予があるんです。その半年以内に、商業地区指定が嫌なら、別の分野の建物を建ててしまえばいい。地域のバランスを変えてしまうんです。そうすると、半年後に「指定されませんでした」と表示されます。

―――助成金のほかに、制限がかかったりするんですか。

そうです。工業地域になったら大きな商業施設は建てられないとかですね。住宅を多めに置くと、住宅地域に設定されましたと。工場は建てられないかもしれない。

―――それははじめからマップに設定されているのではなく、あとから設定されるんですね。

マッブによってははじめから設定されています。自分の街作りのやりかたによって、あとから指定される場合もあります。


■鉄道ダイヤ設定を詳しく

―――飯塚さんの苦手な鉄道の話題なんですけど(笑) びっくりしたのが、カーブがきれいになりましたね。前作ってカーブも斜めの直線で、カクカクっとしていたんですけど。

機能的には同じタイル処理なんですよ。ただ、解像度的に約1.5に増えたんです。前のタイルは24ドット、今度は32ドット。そのぶん滑らかに描けるようになったんです。曲線の種類が増えたのではなく、前作と同じ斜めと直線の組み合わせです。

―――貨物駅ができました。貨物の積み卸しは旅客用の駅ではできますか。

できます。通常の駅で貨物を扱えないとなると難易度が上がってしまうので。基本的には全部貨物を扱えます。ただし、貨物駅は維持費が安くなって、積み卸しの範囲が旅客駅より広くなっています。

―――鉄道ファンにとって、車庫や信号場ができて、ダイヤ作りが楽しくなりました。

ダイヤの設定は5分単位です。前作は1分がゲーム無いの1フレームだったんですよ。それが3フレームで1分になっています。1回のフレームが20秒になってます。前作は電車がカクって動くと1分経過。今回はそれが20秒。ただし、マスコンでゲームスピードは変更できるので、そこは動きとしては補完されてスムーズに動くように見えるんです。よほどこだわるユーザーでないと、そこがどう動いているかはわかりにくいと思います。

―――列車の追い越しができるとか、いろいろできそうですね。

カーブで減速ってのはもともとやっていたんですけど、今回は、駅を発車するときに速度を設定できます。次の駅に行くまでは、高速な列車でも中速まで、って設定の仕方です。中速列車の路線に高速列車を走らせても追突しないように、運行間隔を揃えられるようにしました。

―――車庫に入ると維持費が下がるという点がリアルだなと思いました。

列車を使い続けると時代が進むにつれて老朽化していきます。それにともなって維持費が上がります。車庫に泊めるようにすれば、5年で1.5倍になるペースを10年にできるかも、という感じです。

―――電車は駅に留置するより、車庫に停めておいた方がいいよと。

ただ、それを普通のユーザーにこうしてね、というとまたハードルが上がっちゃうじゃ無いですか。これはそういうところにこだわるユーザー向けの要素ですね。

―――車庫と信号所って、かなりハイレベルなテクニックですよね。

そうですね。だから、ほとんどの人は必要ないと思います。こだわりたい人向けの機能です。

―――隣町の運転時刻を調整できるといいな、という意見が採用されていますね。複線もできる。隣町の駅はどのくらいの距離なんですか。

線路を引くときに、前作は隣町につなぎますか「はい」「いいえ」だったんですけれど、複線を選ぶと、1本の線路の隣にもう1本の線路ができて、行きと帰りで別けられるんです。およそマップ半分くらいの距離に隣町の駅がある感じで固定されています。そこに仮想の駅が建っています。

―――ダイヤ設定が楽しみになってきました。

そうですかねぇ。要望に併せていろいろ追加していった物の、自分としてはそっちを楽しむタイプでは無いので、これでホントに楽しくなってるのかなって思うんですよ(笑)

■詳しくなったチュートリアル、シナリオ作成

―――今回初めて遊ぶ人も多いと思います。チュートリアルは改良されましたか。

前作よりも図解を増やして、丁寧に説明する感じです。前作と同じで3つにわけてじっくり理解を深めていただくと。ただ、遊ぶ要素が増えているので、配分は変わってます。チュートリアル1で資材まで扱います。

―――丁寧に説明しつつ、チュートリアル部分でもたっぷり遊べる

チュートリアルで挫折しないように、と考えて作りました。

―――前作も、チュートリアルとはいえ「あっ、こんなことができる」「これもできるんだ」という、テンポ良く発見する喜びが演出されていました。

そのリズム感は変わってないです。何も知らない人にいっぺんに機能を見せると、混乱しちゃうので、ちょっとずつ自然に理解を深めてほしいなと。

―――チュートリアルでどこまで学べるんですか。減価償却とかも?

そこなんですよ。それを説明しはじめるとたいへんなことになるんです。そこは経理部長がいろいろ説明するんだけれども、秘書さんがフォローしてくれて、社長がそこまで詳しくならなくても大丈夫ですよ、みたいなシナリオにして。

―――あとはプレイ中のフォローアップですよね。ヘルプ機能というか。

はい。細かいことはその都度、経理部長にきいてくださいねという感じです。今回はチュートリアルもログをあとで読み返せるようにしました。軽く読み流しちゃっても、あとでじっくり読めます。

―――もう一回チュートリアルを遊ばなくちゃ、とはならないんですね。それは便利ですね。

―――マップコンストラクションでは会話シーンも設定できるというのがあって、かなり物語を作り込めそうな感じですね。

ええ、ここはみなさんに自由に使っていただいて、オリジナルのシナリオをつくっていただきたいなと

―――もしかしたら、経営ゲームなのにアドベンチャーゲームを作れるかも?

ゲームシナリオと言っても、別のゲームを作れるわけではないですよ。会話シーンを設定できると言うだけですから。会話シーンの発生条件にしたがって会話を表示させるだけです。

―――儲かったら艶子さんに色っぽく褒めてもらえるとか。

はいはい(笑)。

―――マップの広さ、前作は176マス×176マスだったそうです。

今回は224マスです。

―――これは12のマップすべて同じ広さですか。

そうです。同じ広さです。

―――公共施設は撤去できるようになりました。

前作はただの邪魔者だったかも。でも今回も撤去にはお金がかかります。おいそれとどかさない方がいいと思います。前作と同様に、立地条件をよくする効果があるので。住宅が建ちやすくなります。

―――前作はセーブが3カ所でした。もっとふやして……と。セーブ数を増やしてもう一つゲームを買った、なんて人もいたようで……

今回はセーブが50個です。これは、セーブ場所の仕様をカートリッジからSDカードに変更したためです。カードリッジ側はシステムデータのみ保存しています。SDカードにセーブするけど、50で制限している理由は、任天堂さんからのガイドラインに合わせています。ひとつのゲームでSDカードを独占するわけにはいかないので。でもガイドラインの最大値まで使わせていただくと。
―――コンストラクションもセーブ可能にと、これはさきほどの50の中に入りますか。

前作は完全にコンストラクションモードではなくて、自動生成マップであそべるという機能でした。今回はコンストラクションモードですけれど、通常のゲームで使える機能はすべて使えるんですよ。だからセーブもできます。

―――ダウンロード、データのやりとりができますよね。SDカードで。公式サイトでマップを交換できるようになりませんか。

サーバを持つということは考えてないです。ユーザー間でうまいことやってほしいなと。あくまで友達とメールで交換してくださいと。

―――SDカードにデータがあるよ。それ以上は内緒。

データのセーブ場所など、ある程度は説明していますけど。

―――新マップはニンテンドーストアで提供するんですか

ニンテンドーストアのシステムを使っていますが、DLCはゲーム内から購入できる仕組みが必要なので、タイトル画面にDLCのボタンをつけたんです。

さらにシナリオコンテストをやるんです。優秀なシナリオを集めたらパッケージ化して販売しようと思っています。

シナリオの中に、ユーザーが作ったマップや車両が含まれるので、シナリオの作者が、街に合わせてデザインした列車を出せるという感じですね。

■追加した要素をゲームに必要な機能にしない

―――プロモーションムービーの中で、どっちの社長さんが優秀か競い合うという説明がありました。あれはどんな仕組みですか。

ライバル機能ですね。前作でもちょっとあったんですけれど、あまりにも目立たなかったので遊ばれなかったんですね。ゴーストとの競争です。同じシナリオをプレイしたセーブデータと競争してみようという機能です。前作は会社情報から履歴だけ比較できたんです。それだけだと地味すぎて競争感がなかったので、今回はリアルタイムで秘書さんが「ライバル会社さんが何々を達成したようですよ」と報告してくれて、ライバルボタンを押すとそのマップを見られるようにしました。視察できるんです。ライバルとして競争してもいいし、なかなかゲームクリアできないというひとが、先にクリアした人のデータを参考にしてもいいですし。

―――ダウンロード版という要望が高いようですが

検討中です。まだ正式にやるかどうかはわかりません。

―――気が早いですけど、次回作の構想なんて

今後も作り続けていきたいですけど、現行のニンテンドー3DSではもう難しいですね。ほんとに限界まで機能を詰め込んだので、この機械でこれ以上は無理だなあと感じています。

―――ハード自体がバージョンアップしてくれないと無理?

そうですね。

―――もしかして、今回も入れたいけど入れられなかった要素があるとか

ありますね。たとえば路面電車の専用線とかね。これは機械の性能と言うより、容量と選択の問題でしたけど。

―――都電荒川線とか、広島電鉄の宮島線みたいな機能ですよね

そんな、自分の中でのこだわりみたいな路線はないんですけど、ただ、普通の線路にも路面電車を走らせたかったなと。

―――やりたいこと、いっぱいあったんでしょうね。

もちろんネタ的にはいくらでも。ただ、性能の問題だけではなくて、シェアが広がってくれないと会社としては開発にリソースを投入できないですよね。

―――おっと、リアルな経営の話だ(笑) みなさん買ってくださいと。話を変えて、飯塚さんの好きなマップ、思い入れのあるマップはどれですか

今回、マップはあまり関われなかったんですよね。デザイナーさんに任せてしまって。だから、個人的に思い入れのあるマップというのはないです。

―――ネット上では、マップの元ネタはどこだ、という話題で盛り上がっているようですが、あれは当たってますか。

あたっているのもありましたね。広島だったかな。マップは元ネタとして実際の地形があるんです。でも、シナリオを作り上げていく過程で形が変わってしまいますから、実在の地形と同じではないですね。だいたいなにかしらモチーフにしています。

―――奥の深いゲームになりましたね。

難しすぎるという声が多くなりそうで心配なんですけどね。ただ、今回心がけたところは、追加した要素をゲームに必要な機能にしないように気を付けました。

―――追加要素がゲームの難易度を左右しないようにとは

おもしろさを追加して、難易度は上げない。ダイヤは細かく設定できるけど、その機能を使わなくたって街は発展できますよ、とか。

―――そういえば、資源の種類が増えましたけど、お金儲けの要素を追加しただけで、街の発展とは関係ないという話でしたね。

そうです。ジオラマ的にパーツが増えるけど、ゲームに影響しませんよ、と。電化非電化についても、風景を飾る程度なら楽しいけど、運行できる列車に制限ができたら楽しくないなと。

―――3Dということで、プレビューモードも楽しくなりましたね。ここにこだわりは?

ここはすんなりと3D化できたなと思います。このゲームの場合、3Dは見るだけなので、そこで操作することはないのでやりやすかったです。PC版のように操作もできるようにすると、奥行きがある中で操作するって大変なんですよ。上画面はタッチできないので、見るだけと割り切れた。

―――プレビューの間は街の成長は止まっている?

いえ、時間は進んでいます。操作ができないだけです。

―――そのほかの3Dプレビューで配慮したところは

ほんとは、クォータービューと3Dビューで、よくみると違うオブジェクトだったりします。ほとんどの建物は同じなんですけど、見え方によって描き直したところもあります。あと、実は車両と建物の縮尺が、クォータービューと3Dビューで違うんです。3Dビューで人を出したら、デフォルメとはいえ建物と車両のバランスの差が目立ってしまったので、電車をちょっと大きくしています。

―――最後にプレイヤーの皆さんへメッセージを

シナリオコンテストが始まりました。ぜひ応募してください。公式に作れないような(開発者スタッフが思いつかないような)作品を見たいなあ。じっくりと実際の地形を作っても楽しいでしょう。さっくりとしたネタマップも歓迎します。期待して待っています。

―――ありがとうございました
《杉山淳一@INSIDE》

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