【池原照雄の単眼複眼】増税後も国内需要は堅調…新モデル効果で反動減軽微の観測

自動車 ビジネス 国内マーケット
トヨタ・ハリアー
  • トヨタ・ハリアー
  • ホンダヴェゼル ハイブリッドZ
  • 日産 新型 ティアナと片桐副社長
  • 東京モーターショー2013、ホンダのプレスブリーフィングに登壇した峯川尚専務執行役員
  • トヨタ 佐藤康彦常務役員

マーケットの地合いが良くなっている

2014年の国内新車市場は消費税率引き上げで波乱含みとなる。注目は4月以降の反動減の深さと長さだが、ここに来て自動車大手各社の担当役員の間ではやや楽観的な予測が広がってきた。納車が消費税増税後となる車両の受注も堅調に推移し、手応えを感じているのだ。13年の総需要である537万台には届かないが、3年連続で500万台ラインに乗るとの見方も有力になってきた。

1月20日に日本メーカーでは今年初の新車発表会を開いたトヨタ自動車と日産自動車。国内営業を担当するトヨタの佐藤康彦常務役員と日産の片桐隆夫副社長は、異口同音にマーケットの底堅さを指摘した。いわゆるアベノミクスによる国内景気の回復で、消費マインドが好転しているところに、各社の新モデル効果が重なり「マーケットの地合いが、確実に良くなっている」(佐藤常務)というのだ。

増税後納車の商談も活発に

そうした地合いの上に、昨年秋から消費税増税に伴う駆け込み需要も顕在化し、年度内はハイペースの販売が続く。片桐副社長は3月までは、「昨年12月の水準である前年同月比25%増レベルのペースになろう」と見ている。昨年1-3月の販売は、前年を8%前後下回る推移だったので、2割以上の伸び率となってもおかしくはない。年度末の3月はもっと行く可能性が高い。

懸念されるのは増税後の反動減だが、年が明けてやや楽観的ともいえる観測が広がりつつある。ホンダの峯川尚専務執行役員は、「(反動減による)調整の幅はそう大きくならないのではないか」と指摘する。系列販売店では、駆け込みに間に合わず4月以降の納車となる顧客の商談も結構活発であり、峯川専務はそこに手応えを感じているという。

ホンダの場合、国内向け新モデルが業界で最も充実している状況なので、割り引く必要があるかもしれないが、実はそうでもない。トヨタなども新モデルを中心に「増税後納車」の引き合いは順調という。佐藤常務によると昨年11月発売の新型『ハリアー』は納車まで5、6か月待ちであり、20日に発売した『ノア/ヴォクシー』は同日までの事前受注が3万台に達した。

前年は下回っても500万台には到達?

新モデルなど車種に偏りがあるものの、増税後納車の商談も各社でそれなりに進んでいるという状況なのだ。その結果、新モデル効果が4月以降の反動減を和らげる展開となっていく。トヨタの佐藤常務は「4月以降の“段差”は多少あったという感じになるかもしれない」という表現で、反動減が意外と軽微に終わる可能性に言及している。

もっとも、現時点では12年、13年と続いた537万台という市場規模に届くのは厳しいというのが各社担当役員の観測だ。同時に「落ち込みはそう大きくなく500万台レベルにはいくのではないか」(ホンダの峯川専務)との見方もある。トヨタは今年の国内販売計画の前提ともなる市場予測を現在まとめているところだが、「終わってみれば、(自動車業界が)頑張って500万台に達していたということになればいい」(佐藤常務)という。4月を境に波乱はあるものの、500万台ラインには届く展開となるのだろう。

《池原照雄》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集