JAXA 大西卓哉宇宙飛行士2016年に国際宇宙ステーション長期滞在が決定

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JAXA 大西卓哉宇宙飛行士2016年に国際宇宙ステーション長期滞在が決定
  • JAXA 大西卓哉宇宙飛行士2016年に国際宇宙ステーション長期滞在が決定
  • 2016年、約6カ月間のISS長期滞在が決定、ヒューストンから会見に臨む大西卓哉宇宙飛行士。
  • JAXAより、有人宇宙ミッション本部 宇宙飛行士運用技術部山本雅文部長と長谷川義幸理事が登壇。
  • 大西宇宙飛行士はロボットアーム操作の技術では高いレベルにあると、各国から評価されていると長谷川理事。

JAXA 宇宙航空研究開発機構は、2009年に選抜された大西卓哉宇宙飛行士が2016年6月ごろから国際宇宙ステーション第48/49次長期滞在クルーとしてISSの運用や宇宙環境実験などを行うことが決定したと発表した。

大西宇宙飛行士は、2009年に油井亀美也宇宙飛行士、金井宣茂宇宙飛行士とともに日本人宇宙飛行士候補として選抜され、2011年にISS搭乗宇宙飛行士として認定された。その後はアメリカ、フロリダ州の海底研究施設でNASA極限環境ミッション運用訓練に参加するなど訓練を続け、ISS搭乗機会に備えていた。今回の決定で、現在ISSに滞在し、2014年5月に帰還する第38/39次長期滞在クルーの若田光一宇宙飛行士、2015年6月ごろから搭乗する予定の第44/45次長期滞在クルー、油井亀美也宇宙飛行士に次いで、日本人宇宙飛行士としてISS長期滞在ミッションに参加することになる。

11月29日午前、記者会見の席でJAXA 長谷川義幸理事は、「搭乗機会の割り当てについてNASAから提案があり、ロシア、欧州もこの提案を支持した。日本人宇宙飛行士が国際的な信頼を得ている証と思う。(大西宇宙飛行士本人へ)宇宙工学を学んだエンジニアとしての素養と民間航空機パイロットとしての厳しい経験の両方を持ち、臨機応変の対応ができると期待している」と述べた。大西宇宙飛行士の打ち上げ、帰還共にロシアのソユーズ宇宙船に搭乗することになっているが、長谷川理事からは「打ち上げ時にソユーズ船長補佐を務めることとなった。ISS参加各国がその技量を評価している」と打ち上げ時に重要な役割を担うことを明らかにした。

滞在中の米テキサス州 ヒューストンからビデオ会議で会見に臨んだ大西宇宙飛行士は決定を「嬉しい」かつ「4年半近く、一日一日大切に訓練してきた日々の積み重ね」の上にあるとした。訓練中にNASA ジョンソン宇宙センターのミッションコントロールセンターの管制チームとして、宇宙飛行士との通信を担当するCAPCOM(Capsule Communicator)の訓練を受けたという。役割の中でISSという巨大なシステムについて「基礎訓練で学んだベーシックな内容よりも、さらに深い技術的なシステムの話をしていた。それまでの学んだことでは足りず、管制チームから詳細マニュアルをもらって訓練した」と高度な訓練を受けたことに触れた。早口の英語で膨大かつ専門的な内容が飛び交うCAPCOM訓練参加には不安もあったが、先輩の若田宇宙飛行士に励まされ、強く勧められて参加を決断したとのことだ。

ソユーズ搭乗時から船長補佐の役割を担う点については「補佐とは、コマンダーに万が一のことがあればかわって対応する役割で、これは(前職の)民間旅客機副操縦士とまったく同じ。そのバックグラウンドを活かして望みたい」と経験に裏打ちされた自信を見せた。操縦士経験は、操作系が似ているというISSのロボットアーム操作にも活かされるという。CAPCOM訓練中に日本のISS補給機「こうのとり(HTV)」の打ち上げが行われ、日本の運用チームの実力を肌で感じたという。そのHTVも含め、ISS補給船をロボットアームでキャプチャ、結合する操作には「ぜひ実施したい」との希望を持っているとのことだ。

《秋山 文野》

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