東京工業大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などは、観測史上最大級のガンマ線バーストを日本のグループが宇宙と地上から観測したと発表した。
東京工業大学大学院理工学研究科の河合誠之教授や、理化学研究所、青山学院大学などのグループは、JAXAと理化学研究所が開発し国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟に搭載された全天X線監視装置MAXIを使って、バーストのX線残光の観測に成功した。また、東工大と国立天文台は、バースト発生後、5夜後まで明るい残光を山梨県、岡山県、石垣島からMITSuME望遠鏡3色カメラで撮影して減光の様子を詳しくとらえた。日本の研究者も参画しているフェルミ宇宙ガンマ線望遠鏡衛星は、予想を超える20時間という長時間にわたって高エネルギーガンマ線を検出した。
観測史上最大級となる「モンスター」ガンマ線バースト「GRB 130427A」をとらえたことになる。
また、詳しいデータ解析の結果、今回のバーストは、宇宙年齢100億年という現在とほぼ同じ宇宙環境で発生したにもかかわらず、宇宙初期に発生する普通のバーストと同じ「モンスター」としての性質をもっていることが分かった。
これまで最も近くで発生したバーストの場合、爆発エネルギーが著しく小さく、別種の現象だった可能性が高かったが、地球に近いからこそ得られた「普通のモンスター」の高品質のデータによって、従来のガンマ線放射機構の理論は再考を迫られることになる可能性がある。
ガンマ線バーストは、太陽の数十倍の質量をもつ恒星が一生の最後に起こす大爆発で、平均的には宇宙年齢30億年の宇宙初期、100億光年を超える遠方で発生する。今年4月27日に発生したGRB 130427Aは、大きな爆発エネルギーをもつガンマ線バーストだったが、38億光年という近くで発生したため、明るく観測された。
今回の研究成果は11月22日発行の米科学誌「サイエンス」に掲載された。
ガンマ線バーストの観測は、現在はSwift、Fermi、MAXIなどによる宇宙からのガンマ線・X線観測と、地上の望遠鏡の連携で行われているが、人工衛星も次第に寿命を迎えつつある。次の10年間のためのガンマ線バースト観測衛星や国際宇宙ステーションへの搭載観測装置の計画も検討されている。