ESA重力観測衛星『GOCE』推進剤を使いきる 軌道の変化は10月26日ごろから

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八角形の独特の形状をしたGOCE
  • 八角形の独特の形状をしたGOCE
  • GOCEの作成した地球の重力モデル

ESA 欧州宇宙機関は、2009年に打ち上げられた重力観測衛星『GOCE(ゴーチェ)』搭載の推進剤残量が350グラムを下回ったと発表した。今後、衛星のエンジンは10月26日ごろまでに停止し、軌道を維持することができなくなる。

GOCEは、2009年にESAが打ち上げた重力マッピング衛星。重量約1100キログラム、長い部分で5メートルほどある大型の衛星だ。GOCEの重力勾配を計測する「EGG」は、地球表面の物質の密度を精密に観測し、ジオイドと呼ばれる全地球を平均海面の高さにならした球体を計測するため観測機器だ。花崗岩、橄欖岩など地球の表面を覆う物質は密度が異なるため、重力の大きさにも差が生じてジオイドにはわずかな凹凸ができる。GOCEはこのジオイドの凹凸の精密な観測などをミッションとしていた。

特殊なミッションのため、GOCEは地球の大気圏の辺縁である高度226キロメートルという、人工衛星の中では最も低い高度を周回していた。ごく薄い大気の影響で速度が低下し、地球に再突入するのを防ぐため、キセノンを推進剤とするイオンエンジンを搭載し高度を維持していた。

GOCEを運用するESAのESOC(欧州宇宙運用センター)によれば、10月18日に推進剤のキセノン残量はエンジンが作動する限界を下回ったことが確認され、まもなくイオンエンジンは停止する。遅くとも10月26日までには停止し、衛星は高度を維持できなくなり、およそ2週間で大気圏に再突入する。正確な再突入日時は、ESAスペースデブリオフィスが監視を行っている。

《秋山 文野》

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