2013年8月22日、三菱航空機および三菱重工業は、国産リージョナルジェット『MRJ』の初飛行予定を2013年第3四半期から2015年第2四半期に、初号機納入予定を2015年半ばから2017年第2四半期に延期した新スケジュールについて説明会を開催した。
今回、開発スケジュールが2年近く延期となった理由について、三菱航空機 川井昭陽社長は「安全性を担保するプロセスにおいて、従来は機体を製造してから安全性の証明を行っていたが、現在は設計から製造にわたる全プロセスを文書化し明確化することが必要。そのため、装備品を製造するパートナーとの調整に時間がかかり、装備品の製造開始が遅れた」と説明。
安全性の証明のために設計段階から文書化された手続きが必要な点について、日本だけではなく世界的な流れであり、三菱航空機もその必要性は認識していた。しかし約50年ぶりとなる民間航空機開発プロジェクトの中で、実際にその手続きを遂行するにあたり、当初の想定以上に時間がかかったと説明している。遅れが顕在化しはじめたのは2012年夏ごろだという。また、装備品の安全証明プロセスは全体に遅れが出たもので、MRJが採用するプラット・アンド・ホイットニー製PurePower PW1200Gエンジンに関する部分ではないという。
今後は、強度試験などを行う地上試験機2機、初飛行から自動操縦の実証まで行う飛行試験機5機を製造、型式証明を取得し量産化に入る段階になる。ここから先を川井社長は「見通しが立つ領域」と表現し、初号機納入までの道のりの6割程度まで進んだという。
量産化にむけて、三菱重工が愛知県豊山町の小牧南工場周辺に新設するとしている最終組み立て工場は、2016年からの稼働を目指しているという。初号機納入が遅れた分、準備期間をとって量産化の加速を進め、目標では月産5~7機を生産するとしている。