NTTドコモ・愛知県豊橋市などは7月8日、市立牛川小学校で実施されているタブレット活用学習を公開。同校4年生の世界自然遺産を学ぶ授業で、児童たちがタブレットを使いながら積極的に楽しく学ぶ姿が見られた。
子どもたちの机の上には、タブレットが1人1台ずつ置かれている。授業が始まると、「教科書とノート」のかわりに、「タブレットとプリント用紙」が並ぶ。教師は「黒板」のかわりに大型ディスプレイに映し出されたタブレット画面を児童たちと共有する。
「知床の自然について調べてみよう!」という課題から、子どもたちはタブレットに視線がいく。ドコモ・豊川市・牛川小学校が共同でつくった学習プログラムがインストールされているこの端末。子どもたちは、このタブレット画面をタッチし、指でページを動かしながら関心のあるページへ次々と移っていく。
そして端末内で調べた知床の動物などを、壇上の大型ディスプレイ(タブレット接続)で発表。子どもたちの視線は手元のタブレットから教壇へと移る。
タブレット教材による授業といっても、ペーパーレスになるというわけではない。「書くことも学ぶこととの大事なひとつ」(牛川小学校)で、思ったこと・感じたことなどを鉛筆と紙で記していく時間も設けている。
教える側も同じ。教師は、タブレット画面とともに、黒板(ホワイトボード)側に子どもたちの言葉を記し、手づくりの教材を貼るなど、従来どおりの動きも残してある。
「もちろんタブレットに直接書き込むこともできるが、そうした作業の深度は学校側とどこまでできるか探り合っていく」(ドコモ)
ドコモは2006年から「自然に関心を持ち、自然を好きになってもらうことで、自然を保護する気持ちを育てていく」ことを目的とした世界自然遺産プロジェクト『ユネスコキッズ』に協賛。そのプロジェクトの一環として、タブレット端末を活用しながら自然のかけがえのない尊さを学ぶ、新しい授業の導入を、愛知県豊橋市と協力しながら取り組んでいる。
こうした教育現場へのICT(情報通信技術)導入は、自動車・道路・人との間に入り込むITS(Intelligent Transport Systems)技術などと同様に、政府が打ち出すIT戦略のなかのひとつに含まれる。
政府がことし6月14日に発表した「世界最先端 IT 国家創造宣言」では、「2020年までに、世界最高水準の IT 利活用社会の実現とその成果を国際展開することを目標」とし、「世界で最も安全で環境にやさしく経済的な道路交通社会の実現」や、「学校の高速ブロードバンド接続、1人1台の情報端末配備、電子黒板や無線 LAN環境の整備、デジタル教科書・教材の活用」といった取り組みが盛り込まれている。