従来多くの自動車は、ボディの構造物である鋼板をスポット溶接という点で接合する方法でつなぎ、作り上げていた。しかし新型『IS』ではこのスポット溶接に加えて、レーザースクリューウェルディング(レーザー溶接)と構造用接着剤を使い、面での接合を行っている。
試乗は駐車場に設けられたスラロームコースで、途中にいくつかの段差が設けられていた。ここをスポット溶接だけでボディを造ったIS(テスト用の特別ボディ)と、レーザースクリューウェルディングと構造用接着剤を用いたボディ(市販ボディ)で走り比べるというもの。
指定速度で走った場合、市販ボディでは難なく走り抜けられたスラロームだが、スポット溶接のみのテスト用ボディの場合は、切り返して2つめのターンがきつくなる。ボディが弱く足まわりがついてこないのだ。また、段差越えでは、市販ボディはスムーズに乗り越えて振動も出ないが、テスト用ボディは明かにボディの震えることを確認できた。
接着剤による車重アップはほとんどなく、デメリットはほとんどないという。ただし管理が難しいため、現状では多くの車種への展開は現実的でないという。一方、レーザースクリューウェルディングは技術的にもコスト的にも今後の拡大展開が期待できる技術で、多くの車種に採用されていくことになりそうだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。