NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は4月25日からスペインのマラガ市でEVを利用したスマートコミュニティの実証試験を開始する。その最大のポイントは、日本製CHAdeMO方式の急速充電器を導入する点だ。
現在、この急速充電器の方式を巡って、米国、欧州、中国、そして日本がそれぞれの規格を採用し、激しい主導権争いが展開されている。いくら日本がEVの量産化で先に進んでいても、この急速充電器の争いに負けてしまってはこれまでの苦労が水の泡になりかねない。
そのため、なんとしてもCHAdeMO方式の急速充電器を早く普及させる必要があるわけだ。その役割をNEDOが中心になって果たそうというのが、今回のプロジェクトの狙いといっていい。
NEDOスマートコミュニティ部の戸村貴徳統括主幹も「日本製のEVと急速充電器(CHAdeMO方式)を導入し、市場競争の激しい欧州において実証を行うことによって、今後、欧州、中南米への事業展開を目指すことができる」と話す。
そして、今回のプロジェクトではさまざまな検証が実施されるそうだ。例えば、日本側でEV管理システムやEVインフラ、情報基盤を整備し、スペイン側企業コンソーシアムと連携してEV活用サービス、電力マネジメントシステムの実証を行う。
具体的には、各充電ステーションの満空情報や車載機器のブロー部情報などを基にした最適ナビゲーションサービスをEVユーザーに提供して、利便性の向上を図りながら、走行情報や充電情報などさまざまなデータを蓄積して分析や評価をする。
また、EVユーザーの誘導を最適化することで、急速充電器使用に伴う高負荷による電力系統への悪影響を低減させ、将来的な系統増強への投資を抑制することでEVやEVインフラ、またEVに関わるさまざまなサービスの普及促進を目指す。
いずれにしても、今回の実証プロジェクトによって、日本のEVに関連するビジネスが大きく進展するのは間違いないだろう。