気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2013年3月15日付
●トヨタ社長、満額回答首相に報告(読売・11面)
●オデッセイなど4車種リコール、ホンダ(朝日・37面)
●賃金、数%削減を検討、パナソニック業績悪化(毎日・2面)
●ルノー7500人削減(毎日・7面)
●社会人野球、ホンダ初優勝、日本選手権出場権獲得(毎日・23面)
●ディーゼル車燃えかす付着が原因、2社に整備要請(毎日・28面)
●VWとスズキ仲裁決定は今年半ば以降(産経・10面)
●米の関税維持要求のむ、乗用車無2.5% 5年超 トラック25% 10年超(東京・1面)
●トヨタ、ホンダ復調、日系3社、5年ぶり2兆円、世界自動車12社、12年度営業益(日経・11面)
ひとくちコメント
総理大臣の毎日の行動パターンを知りたければ、各紙が政治面などにリアルタイムで「首相の1日」を掲載しているので、それを見れば把握できる。たとえば、産経の「安倍日誌」14日の欄をみると、「午前11時25分、豊田章男トヨタ自動車社長が入った。午後0時1分、豊田氏が出た」とある。
14日の日経夕刊やきょうの読売などが記事としても報じているが、トヨタ自動車の豊田章男社長が14日、首相官邸に安倍首相を訪問し、春闘で年間一時金(ボーナス)を満額回答したことなどを報告したという。
読売によると「一企業が首相に春闘の報告をするのは珍しい。安倍政権が経済界に賃上げを要請するなど、政治が主導した春闘だったことをにじませた」と伝えた。さらに、「自動車業界は、安倍政権の経済政策『アベノミクス』で円安が進んだことで業績改善の恩恵を受けており、政府と『あ・うん』の呼吸で賃上げに応じたとも言えそうだ」などと、やや皮肉っぽく報道している。正確にいえば、自動車メーカーが応じたのは「賃上げ」ではなく、「一時金満額」である。
それはともかく、会談ではどんなことが話し合われたのだろうか。安倍首相がきょうにも交渉参加表明するという環太平洋経済連携協定(TPP)では、米国が日本からの輸入車に対する関税継続を求めている。きょうの東京が1面トップ記事で事前協議の合意内容を報じているが、豊田社長は会談後のぶら下がりでは「話題に上らなかった」と答えたそうだ。
勘ぐれば切りがないが、お互いに分刻みの超多忙なスケジュールの中での約30分間、株価、為替動向やTPPでは自動車の関税などが焦点となる微妙なタイミングの時期に「安倍-豊田トップ会談」が、単なる「春闘報告」のための表敬訪問とは思えない。