光岡自動車は1月10日、主力車種『ビュート』誕生20周年を記念した特別仕様車を発表した。デザイン責任者と工場長を務める青木孝憲氏は都内で開いた発表会で、すべて手作業で1か月半かけて行われているビュートの製造工程を披露した。
それによると「富山県にある工房に運ばれて来たベース車はまず分解され、ビュートに必要のない部品が取り外され、次にビュートに変わるためのボディーパネルが取り付けられていく。このうち前周りはFRPを取り付けているが、屋根からリアフェンダー、トランクにかけては鉄板で溶接している。この作業も職人がパネルを触って、感覚を研ぎ澄ませながら1台ずつ毎日溶接をしていく」という。
「溶接が終わると、まず下地作業で溶接の跡をきれいにしていく。この時に鉄板の溶接では表現できない部分を板金作業で形を出す。そういう下地をしてからボディカラーを1台ずつ職人が手で塗っていく。手作業のため、どうしてもゴミなどがついてしまうので、それを取り除くために磨きをかける」。
「磨きをかけ終えるとメッキモールや内装などの架装部品を取り付ける。その後、陸運事務局に1台ずつ届出をする。それが返ってきたら2回目の磨き作業。部品を取り付けた状態でもう一度、きれいに全体を磨き直す。それらを経てようやく完成検査。すべての車の仕上がりを自分たちの品質基準に則って検査する」。
「1台のビュートが完成するまでに10の工程を踏むが、それを約1か月半かけて、すべての工程を若い職人たちが手作業で紡いでいる」と青木氏は語った。