NTNは、ガソリンの中など、軸受の腐食が進みやすい環境で使用可能な「耐腐食性焼結軸受」を開発した。
自動車や二輪車用のモータ式燃料ポンプや排気ガス再循環装置(EGR)には、一般的に青銅系焼結軸受や白銅系焼結軸受が使用される。しかし、青銅系焼結軸受はガソリンに含まれる有機酸によって腐食されやすく、また、白銅系焼結軸受は材料に高価なニッケルを含有させる必要があった。
今回同社は、材料にアルミニウム青銅を採用し、ニッケルを使用することなく優れた耐腐食性を実現した世界初の「耐腐食性焼結軸受」の開発に成功した。
アルミニウム青銅は、優れた耐腐食性を持つ材料だが、高温下で表面に酸化物を形成するため、粉末冶金の焼結工程に適さない材料とされてきた。同社では、材料組成を見直すとともに、製造方法を工夫することで焼結性を改良し、白銅系材料と同等以上の耐腐食性を実現。さらに黒鉛を最適配合することで摩擦係数を低減し、耐摩耗性を大幅に向上させた。
同社は、すでに同開発品を自動車関連メーカに向けた提案を開始しており、今後は、塩水をはじめとする腐食環境で使用される産業機械分野へも広く提案していく。