三菱重工業は、傘(ヘッド)部分まで中空になったエンジンバルブ「傘中空バルブ」が、日産『GT-R』12年モデルに採用されたことを発表した。
傘中空バルブは、円柱状の金属材料から、プレス機械を用いて空洞を作り出す鍛造孔開工法で製造。傘部に溶接による継ぎ足し部分がないため、高い強度を確保できる。また、穴あけ工程が不要で、機械加工工程なども短縮、低コスト・短納期化を実現している。
同技術は、戦前から航空機用エンジンバルブ製造技術として保有していた三菱重工独自のノウハウを磨き上げたもの。
中空部分に金属ナトリウムを封入することで、熱伝導率が増大し、冷却効率が高まるほか、重量は中実バルブに比べ約15%減少。また、エンジン駆動時のバルブ温度を約600度と従来より100〜200度抑え、燃費向上目的で圧縮比を高めても、過度の温度上昇を防ぎ、出力低下につながるノッキングを抑止する。
GT-R(12年モデル)には、傘中空バルブが1台当たり12本搭載。同モデルは、11年モデルと比較して最高出力が19ps向上しており、傘中空バルブが出力向上に寄与している。