【新聞ウォッチ】どうにも止まらないユーロ安、自動車・電機など悲鳴

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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2012年7月24日付

●原発複合災害備え欠如、政府事故調最終報告(読売・1面)

●充電1回225キロEV走行、ホンダ「フィットEV」(読売・8面)

●円急伸77円台(読売・9面)

●車、住宅負担軽減へ、財務相「消費税8%」に配慮(読売・9面)

●ユーロ安止まらない、94円台前半11年ぶり(朝日・12面)

●欧州小型車生産PSAに委託へトヨタ(毎日・8面)

●三菱重工、海外2000人増、26年度めど、国内は3000人減少(産経・8面)

●子育て世帯に照準、トヨタ「ポルテ」全面改良(産経・9面)

●インド暴動警戒強まる、日本メーカー事業拡大維持、自動車・電機、グジャラート州・モディ州首相が来日(産経・9面)

●亀山に自前試験コース、豊田自動織機HV部品強化へ(東京・7面)

●シャープ、赤字1000億円、4~6月最終、内外で数千人削減(日経・1面)

●自動車部品の国内収益苦戦、小型車人気単価が下落(日経・16面)

ひとくちコメント

どうにも市場でのユーロ売りが止まらないようだ。23日の東京外国為替市場は、ユーロを売って円を買う動きが強まり、一時、一ユーロ=94円台後半まで円高が進行、約11年8カ月ぶりの円高ユーロ安水準となった。

きょうの各紙も「ユーロ安止まらない」(朝日)、「スペイン国債利回り7.6%、ユーロ全面安」(日経)などの見出しで、欧州の債務(借金)問題をめぐる懸念が再燃し、海外市場でユーロが急落する動きが止まらないと、伝えている。また、米国経済の回復力への懸念から、円はドルに対しても円高方向に動いていることも気になるところだ。

ユーロ安は株価にも影響を及ぼしている。日経平均株価は、ほぼ1ヶ月半ぶりの安値となり、キヤノンやソニーなど、欧州市場での売上比率が高い欧州関連株の主要銘柄が軒並み年初来安値を更新した。

回復基調の自動車など輸出関連企業の業績への打撃も深刻である。きょうの毎日などが取りあげているが、トヨタ自動車の前川真基副社長を「ポルテ」の新車発表会の会場で直撃し「製造業としては厳しい。(政府に)よろしくお願いしたい」と、早期の対応を求めたという。ちなみに、トヨタの今年度の想定レートは1ユーロ=105円。ユーロ安で1円円高になると、年間の営業利益が約50億円吹き飛ぶそうだ。

もっとも、ユーロ安で潤う企業もある。日本国内の輸入車の大半を占めるメルセデスベンツやBMWなどのドイツ車が「一人勝ち」の状態だという。輸入車ばかりでなく、ロンドン五輪観戦ツアーで活気づくJTBなどの旅行業界や輸入家具なども為替差益の恩恵を受けているようだ。

トヨタの前川副社長が「よろしくお願いしたい」と訴えたように、この先も円高が進行すれば政府・日銀が追加の金融緩和策などを打ち出す声も高まりそうだが、製造業と輸入品を扱う小売業との駆け引きも微妙になる。

《福田俊之》

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