燃費なんか気にして『エクスプローラー』が乗れるかと思う。でかいわ、左ハンドルだわで日本市場につきつける反逆の香りぷんぷんなのだ。
大陸のおおらかさを味わえるアメリカンSUVの魅力は、V型エンジンのトルクのはずだ。アクセルをちょいと踏んでぐわっと加速するあの押し出し感。しかしそれを4気筒で、しかも2リットルエンジンってどういうことよ。ターボつけたって、そんなに簡単にあの巨体は動かないんじゃなくって? と、半ば小ばかにしながらアクセルを踏み100m進んだところで、私は反省してひざまづきたい気分だった。
速い、いや、強いと表現した方がいいのだろうか、このパワフルさは。
エコブーストに妥協や言い訳は存在しない。パワーこそV6に劣るものの、トルクはこちらの方がある。しかも最大トルクが発生するのが1000回転も低いゆえ、スタートダッシュのたびにその強さの恩恵を授かることになる。エコと呼び名はつくけれど、まったくもって互角以上の加速感、そして頼もしさである。
唯一、気になるといえばエンジン音だろうか。加速的にはまったく不自由はないものの、耳に届くのは直列4気筒ががんばっている音。アメリカ~ンな気分から、わずかに引き剥がされる瞬間だ。ただ、これで燃費がアップするのだから文句を言っている場合じゃないのかも。
いや、それこそ燃費なんか気にしてエクスプローラーに乗りたくないのだが、満タンでの航続距離がのびるのは嬉しい。FFだし革シートだし、雪道を無視するならいい選択だと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。