トヨタ自動車が2日、幕張メッセで開いた『86』の発表会には、ライバルメーカーの元スポーツカー開発責任者である貴島孝雄氏が登場し、豊田章男社長や、86のチーフエンジニアである多田哲哉氏にお祝いのメッセージを贈った。
貴島氏はマツダの歴代『ロードスター』開発者として知られ、2010年度から山口東京理科大工学部の教授を務めている。貴島氏は、2007年に多田氏が「スポーツカーの話を聞かせてほしい」と、広島のマツダ本社に貴島氏を訪ねて来たエピソードを紹介した。
その際「開発を進めるうえで、経営の承認がなかなか取れない」という多田氏に、「スポーツカーの開発はエンジニアのパッションで決めるものです。収益の確保はその後で考えればよい」とアドバイスしたという。
貴島氏は86の完成を「非常にうれしい」と述べ、試乗した感想として「多田さんのパッションが伝わってきた」とエールを贈った。また「スポーツカーを楽しむカルチャーを広げることは、日本を元気にすることにつながる」と話し、スポーツカーはクルマ好きの底辺拡大をもたらすとの持論を展開した。