【インタビュー】「水性塗料を切り口に一緒に工場を作っていく」BASFコーティングスジャパン 久保田克彦 執行役員

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ベストペインターコンテスト2011大会のようす
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BASFコーティングスジャパンが開催した「ベストペインターコンテスト2011」の決勝大会。国内チャンピオンに熊澤崇選手(オートサービス中北)、2013年開催予定の世界大会出場者として菅原健二選手(新和自動車)が選ばれ終了した。

水性塗料を使った技能コンテスト「ベストペインターコンテスト」の開催の狙いについて、BASFコーティングスジャパンの執行役員で自動車補修・車輛塗料本部長の久保田克彦氏に聞いた。

---:まず、ベストペインターコンテストはどういったコンテストなのでしょうか。

久保田氏:世界大会として開催されるベストペインターコンテストは、かれこれ10年以上の歴史があるコンテストです。国内では2009年に初開催し、今回で2回目の開催となります。国内大会は、世界大会とリンクしておりまして、第1回大会でもホンダボディサービス栃木の永塚さんに日本代表として世界大会に参加してもらっています。永塚さんは2010年9月にフランスで行なわれたベストペインターコンテストの世界大会で、日本から初出場し、優勝を成し遂げました。今回の国内大会で代表に選出された菅原さんにも2013年に開催予定の世界大会に参加していただくことになります。

---:ベストペインターコンテストは国内では2回目の開催となります。第1回日本大会の代表だった永塚さんが世界大会で優勝して幕を閉じた反響は、どういったものがあるのでしょうか。

久保田氏:こういった技能コンテストは、自動車メーカーがサービス部門で実施することはありますが、塗料メーカーとして実施するというのは、非常に珍しいということで支持を得ています。また、水性塗料を使用したコンテストに特化していますので、自動車補修の分野では今までに例を見ないコンテストとして評価されています。

久保田氏:国内大会が世界大会と結びついているということで、とりわけ日本の若い技術者、それを支える経営者たちにとってのモチベーションとなり、日本の閉塞感を打ち破るものとして皆さんの期待が集まっているのでは、と思います。実際に、ホンダボディサービス栃木の永塚さんが世界大会で優勝したことがビッグニュースとして日本を勇気づけるものになりました。

---:水性塗料を使ったコンテストとしたのは、どういった狙いがあるのでしょうか?

久保田氏:当社は、水性塗料を2006年頃から販売を開始しております。我々は販売量を毎年倍々で増やしていくといった営業目標があり、昨年まで順調に目標達成してきています。ただ、今年度に関しては震災があり、一部の顔料が供給できない状況も続きまして、新規ユーザーの獲得も含め、スローダウンしている状況ではあります。

久保田氏:周囲の環境としても、自動車メーカーや塗料メーカーは、塗料に含まれるVOCを削減しようと塗料の水性化を進めています。自動車補修の分野でも、中国、ASEAN、といった新興国の市場で、自動車メーカー系のボディショップさんは、始めから水性塗料を導入しています。

久保田氏:一方、国内では、新車の製造ラインでは水性塗料は60%の普及率となっていますが、自動車補修分野では10%に満たないといわれます。しかし、確実に自動車補修の業界も水性化を進めていこうとしている状況です。コンテストの開催は、メーカー系、独立系のボディショップを問わず、参加者が水性塗料を扱うパイオニア的な存在であることを業界関係者にとどまらず一般の人たちに知ってもらおうという狙いもあります。

---:ボディショップ側から見ると、水性塗料導入に関しては、設備の改修といった経済的な負担に加えて、乾燥に時間がかかるなどの作業効率面への不安があるかと思います。そうした課題を製品技術やサービスによって克服可能であることを理解してもらえば、塗料の水性化がビジネスとして拡大すると感じます。

久保田氏:水性化への切り替えは確実な流れとしてあり、我々は非常に大きなチャンスと思っています。

---:有機溶剤を使用した塗料と水性塗料の大きな違いは、乾燥に時間がかかることが挙げられます。コンテストの評価基準となる「効率的な塗装」というのも、水性塗料の“乾燥”という課題を克服するためのものなのでしょうか。

久保田氏:自動車ユーザーの視点からすれば、もちろん塗装の仕上がり感も大事ですが、工場を経営するうえでは、作業のスピードや塗料の使用量といった経済性も重要となってきます。経営に対しても効率の良い作業が出来るようプログラムに落とし込んでおり、どれだけ効率よく作業できているかという面も評価の対象となっています。

久保田氏:現在は、水性塗料を導入しても有機溶剤の塗料と併用するケースが多いのです。それを水性塗料への移行期間として捉えればいいのですが、経営面からすると効率的とは言えません。水性塗料だけで工場を運営するユーザーを増やしていくというのが今の時期として大事で、早期に100%に切り替えていただくメリットを、工場経営者の方々にお話しているところです。

久保田氏:毎年確実に水性塗料の使用率が100%未満のところは100%にしていく。水性塗料100%で運営できる工場を一緒に作っていこうというのが今の目標です。100%水性塗料で工場を運営できることを示していけば、それが自動的に作業の効率化、工場経営のレベルアップにつながっていくと理解していただけると考えています。

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