日産自動車のカルロス・ゴーン社長は、27日発表した中期経営計画「日産パワー88」(2011~16年度)で、年間5%のコスト削減を実施していくことを明らかにした。
しかし、これは「既存のサプライヤーのコストを下げるものではない」という。同社は日産リバイバルプラン(00~01年度)の実行以降、年間5%のコスト削減を果たしてきたが、これは主にサプライヤーを交えたモノづくり活動によるものだった。つまり、サプライヤーに対して値下げを行ってきたわけだが、今回の中期計画ではそれがメインではないそうだ。
「5%のコスト削減は販売台数の増加と効率化によって実現したい。日産バリューアップ計画(05~07年度)では、1モデルあたり年間5万5000台を売っていた。それをパワー88計画では11万台にしたいと考えている。これによって、効率が2倍になる」とゴーン社長。
同時に、車種間・新旧モデル間の部品とシステムの共有化率を上げ、プラットフォーム全体の効率化を進める。物流費や内製コストにも注目し、生産と購入品、納車整備センターまでの物流費をトータルで削減していく。これらによって、5%のコスト削減を達成させようというわけだ。
また、日本国内での生産について、改めて100万台を維持することを強調し、「サプライヤーを弱体化させるつもりはない。サプライヤーが強くなければ、それは達成できない」と強調。“コストカッター”の異名で部品会社から恐れられたゴーン社長も、これまでのやり方に限界を感じたのか、心変わりをし始めたようだ。