三菱重工業は6月15日、オーストリアに原動機の調達・エンジニアリング会社「MHIエンジニアリング・ビエナ」を設立すると発表した。
新会社を設立するのは、中・長期的に欧州地域で市場の伸びが見込まれるガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備の需要などに機動的に対応していくのが狙い。欧州地域の原動機市場に精通したエンジニアを現地に配置し、設計・調達・建設のノウハウを蓄積して、新規プロジェクトの受注・遂行能力と調達能力を強化する。
新会社設立は、同社の「2010事業計画」で掲げている「グローバル・ビジネス拡大」戦略の一環。
新会社は、欧州原動機事業統括会社であるミツビシ・パワー・システムズ・ヨーロッパ(MPSE)の傘下企業として、欧州域内とその近隣諸国を事業が対象となる。資本金は100万ユーロで、MPSEが全額出資する。設立時の従業員数は25人程度。
現地エンジニアの豊富な経験を活かして、欧州地域の顧客ニーズを捉えたソリューションを提案し、MPSEと一体となった新規原動機プロジェクトを発掘する。
全世界の原動機プロジェクト向けに、欧州の発電プラント機器メーカーからの資材調達を担当、エンジニアリング能力を駆使して最適な機器調達を図っていく。さらに、他製品を含めた全社の調達拠点としても活用していく。
欧州のGTCC市場は、景気低迷や再生可能エネルギー中心の政策により足踏み状態が続いているものの、老朽化した石炭焚き火力・原子力発電所の代替としてGTCC導入の機運が高まっている。また、欧州近隣のトルコやポーランドなどでは、GTCCの商談が活発となっており、新会社設立で現地エンジニアリングリソースの拡充を進めて、GTCCの受注拡大を目指す。