住友金属直江津は、同社が開発した耐摩耗性と放熱性に優れた3層クラッド鋼板が、シマノのマウンテンバイク用ディスクブレーキローター材として採用されたと発表した。
自転車のディスクブレーキローター材料は、耐摩耗性の高いステンレス鋼板が使用されている。特に競技用マウンテンバイクでは、長い下り坂の連続ブレーキでローターが加熱し、ブレーキ性能の低下を招くことがある。これを防ぐために耐摩耗性と高い放熱性も備えたローター材料が求められてる。
今回、住金直江津はシマノの要望に対応し、ローター材料として両外層に耐摩耗性に優れたステンレス、中間層にアルミを配した3層クラッド鋼板を開発した。ブレーキ時に発生した熱は、外層のステンレスから熱伝導性の良いアルミを通してローター表面全体に伝わり、空気への放熱面積を広げることで、放熱性を高めた。
シマノのマウンテンバイク用最高級パーツ「XTRシリーズ」の2011年モデルのローター材料として採用された。
連続ブレーキ時のローターの温度上昇を従来の約半分に低減し、安定したブレーキ性能を実現したほか、約3割の軽量化にも結び付いた。
今後、ローター材料以外の分野で、今回開発したステンレス/アルミ/ステンレスの3層クラッド鋼板の特徴である「耐摩耗性と放熱性の両立」を活かした用途開拓を進める。