[年頭所感]馬淵国交相3 関空を国際拠点として再生

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撮影=中島みなみ
  • 撮影=中島みなみ

2011年の年頭所感で馬淵澄夫国土交通大臣は、国土交通行政は3つの観点から国家の背骨を築くとの認識を示した。一つは国土の背骨、次に国民生活の背骨、そして地域経済を支える産業の背骨。これらの観点から施策し、国民の目に見える成果を提示していくと述べた。

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三つ目は、地域経済を支える産業の背骨としての観点です。成長戦略に関する施策を実現し、国際競争力の強化を図っていくのみならず、観光、建設・運輸産業等、内需の中心となる産業の育成を進めてまいります。

(国土交通省成長戦略の実現)

我が国の国際競争力を高め、将来にわたって持続可能な国づくりを進めるために、国土交通省成長戦略の実現に取り組んでまいります。

海洋分野においては、民間の知恵と資金を活用した港湾経営の効率化や内航フィーダー網の強化などによる国際コンテナ・バルク戦略港湾の機能強化を図るとともに、海運・造船などの海事産業については、新たな造船政策や内航船代替建造対策の検討会を立ち上げるなど、その競争力の強化に一層強力に取り組んでまいります。また、排他的経済水域(EEZ)等の保全・利用の促進や海洋基盤情報の整備による海洋権益の確保を進めてまいります。

さらに、国際的発言力の強化として、本年6月の国際海事機関(IMO)次期事務局長選挙に擁立した日本人候補(関水康司:現IMO海上安全部長)の当選を目指します。

航空分野においては、首都圏空港を含めた徹底的なオープンスカイの推進、羽田の24時間国際拠点空港化及び成田のアジアのハブ空港化の推進など首都圏空港の抜本的な機能強化を図るとともに、関空・伊丹の経営統合等により関空のバランスシートを改善し、関空を首都圏空港と並ぶ国際拠点空港として再生してまいります。

国管理空港の運営のあり方について、「民間の知恵と資金」を活用するための具体的な検討を進めてまいります。

さらに、平成23年度から25年度までの3年間を「集中改革期間」と位置づけ、我が国航空企業の国際競争力強化のため、平成23年度税制改正大綱において、航空機燃料税の税率引き下げを盛り込んだところです。

日本航空については、更生計画に従って着実な再生が図られるよう、引き続き必要な支援を行うとともに、指導監督を行ってまいります。

国際展開・官民連携分野においては、鉄道システム、道路、自動車産業、水インフラ、港湾、環境共生型都市開発等、我が国の優れた建設・運輸産業の海外展開を促進するため、政治のリーダーシップによる官民一体となったトップセールスや日本の技術・規格の国際標準化等に力を注いでまいります。

厳しい財政状況の中で民間資金の活用を拡大し、真に必要な社会資本整備・維持管理を着実に行っていくため、コンセッション方式(施設の所有権を移転せず、民間事業者にインフラの事業運営に関する権利を長期間にわたって付与する方式)の導入等PFI制度の拡充や、より幅広い官民連携による社会資本整備の取組を推進してまいります。

(経済・雇用情勢への対応)

現下の厳しい経済・雇用状況、直面する円高・デフレ状況を踏まえ、昨年9月、「新成長戦略実現に向けた三段構えの経済対策」、いわゆる「ステップ1」がとりまとめられ、国土交通省としては、住宅エコポイント制度や優良住宅取得支援制度(フラット35S)の大幅な金利引下げの延長、観光業や海運業における雇用創造・人材育成の推進、規制・制度改革等に取り組んでおります。

また、「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」、いわゆる「ステップ2」に基づいて昨年11月に成立した補正予算等により、国土ミッシングリンクの解消、首都圏空港の強化、建設業に対する金融支援、海上保安体制の充実等の施策に取り組んでおり、引き続き、これらの対策に盛り込まれた施策の実効性を挙げるよう取り組んでまいります。

「ステップ3」として位置づけられている平成23年度政府予算案において、国土交通省としては、既存の事業を抜本的に見直し、「国土交通省成長戦略」の実現をはじめ、真に必要な社会資本整備の着実な実施、地域の生活交通の確保・維持・改善、高速道路の原則無料化の推進、海上の安全と権益の確保、総合力の発揮、地域主権の確立に向けた取組といった確固たる戦略の下に大胆に予算を組み替えることにより、新たな時代に対応しながら、我が国を牽引する国土交通行政へと大きく転換することを目指します。

なお、特に疲弊している建設産業の現状を踏まえ、昨年末に「建設産業戦略会議」を設置したところであり、同会議での議論を踏まえて、今後の建設産業、特に地域建設業の再生方策の検討を進めてまいります。

このような三つの観点から、幅広い国土交通行政に関わる施策を総合化、体系化することにより、施策の効率と効果を高め、国民の皆様の目に見える成果を提示していくことが私どもの使命と考えております。

国民の皆様の一層のご支援、ご協力をお願いするとともに、新しい年が皆様方にとりまして希望に満ちた、大いなる発展の年になりますことを心より祈念いたします。

※住宅都市分野「住宅市場の活性化」、観光分野「訪日外国人3000万人プログラム」については割愛。

《中島みなみ》

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