EV業界は“3度目の正直” 異業種連携がチャンスを生む…EVEX実行委員長 大聖泰弘早稲田大教授

エコカー EV
大聖教授はEVEXについて「5年から10年先のEVの行方を見据えるイベント」だと語る
  • 大聖教授はEVEXについて「5年から10年先のEVの行方を見据えるイベント」だと語る
  • 30日に行われた記者会見の様子。両展の実行委員長を務める早稲田大学の大聖教授、横山教授らが出席した
  • 30日に行われた記者会見の様子。両展の実行委員長を務める早稲田大学の大聖教授、横山教授らが出席した
  • 電気自動車開発技術展実行委員会委員長・大聖泰弘早稲田大学大学院教授
  • 三菱 i-MiEV
  • 日産 リーフ
  • ENEOSに設置されたEV用急速充電器
  • 東芝製SCiB電池セル
「電気自動車開発技術展(EVEX・イーベックス)2010」(パシフィコ横浜、7月14 〜16日)の実行委員会委員長をつとめる大聖泰弘(早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科)教授に、今回の同イベントの見どころや開催のいきさつなど、話を聞いた。

「EVEXは電気自動車(EV)にかかわる総合的なイベント。これは世界初の試みといっていい。たんに自動車メーカーだけではなくて、部品を供給しているメーカー、材料・素材関連、計測・シミュレーション関連など、さまざまな企業が集まっている。多くのサプライヤーに参加していただき裾野を広くとり、企業間の新たな提携や新ビジネスを展開できればいい。サプライヤーはとかく、自分のつくっている製品には得意で知識が豊富だが、周辺でどういうことが起きているかというのがなかなかつかめていないようだ。このイベントで異業種間のコミュニケーションを深め、現在の取り組みの位置づけも再認識する場ともなるだろう」

大聖教授は5年から10年先のEVの行方を見すえるイベントとして期待している。

「部品メーカーの人たちなどからは、『エンジンから電動モータに変わると、我々のビジネスが終わってしまう』という声を聞くが、それは違う。EVはここ5年から10年が勝負で、そういう中で、ハイブリッド車(HV)のほうが優勢な現在からEVへと転換がはかられたときに、企業がこの変化にいかに対応するかということを研究するチャンスがあると思うべきだ」

5年から10年という期間はどんな理由なのか。

「まず電池の値段がある程度まで下がるのに10年はかかる。またユーザーに認知されるまでに10年、さらに急速充電器の整備などのインフラに5年から10年という具合。EVの世界では、現在を“3度目の正直”と呼ぶ。まず1973年の石油ショック時代の電気自動車の登場。鉛バッテリーによるもので、重量が重く、交換にも費用や時間がかかるなどで頓挫した。次が1990年代にカリフォルニアで起きたゼロエミッションビークルという取り組みが生まれた時代。そして現在が“3度目の正直”となるかどうか問われている」

自動車の世界が大きく変わりつつあるこの時代に、ビジネスチャンスが広がると大聖教授は力説する。

「1次2次3次のサプライヤーをみていると、やはり節目ふしめに大きな転換をはかっている。日本の自動車関連企業は将来を予測しながら変化に対応してきているが、エンジンはなくなることはない。売り上げベースでみて、2020年までに10台に1台がEVになればいいという感じ。日本に7000万台以上のクルマがある。その1割で約750万台。毎年75万台売って10年で750万台となるわけで、企業はEV時代に向けて焦る必要はない。コストダウンをどこまで追及できるか、リチウムを安定的に大量供給できかなど、企業や国が連携を組んで戦略的に進めていかなければならない」

今回のイベントは、幕張や有明で行なわれる同様のイベントとどこが違うのか。

「まずスケールが違う。関連企業が180社以上も出展する。どこも試作品や新技術を取り入れた“現物”を展示するだろう。こうしたサプライヤーなどがEV時代到来を前にどんな方向へ向かおうとしているのかを見てほしい。モータやバッテリをはじめとしたEVに関連する最先端の部品、素材、技術等の情報が発信される場だ」

大聖教授は日本の自動車関連メーカーにこう期待を寄せている。

「自動車の電動化については、日本のメーカーが世界で一番がんばってきた。モータの高性能化、パワーエレクトロニクス、インバーター制御、交流同期モータ、電子デバイスなど、日本のメーカーが一番まじめにやってきた。軽量化への取り組みも同じ。EVはガソリンとエンジンのセットよりも重いが、高性能化と軽量化への追求においては日本のメーカーに勝るものはないだろう。ところが、安くするとなると、韓国や中国も猛追している。両国とも今後はリーズナブルな価格構成を仕掛けてくる。性能は落ちるけど値段が半分とか1/3などになると、どっちをとるかということになる。日本の中小企業にはとんがった技術や試作スピードが早いというメリットがある。中小企業同士が手を組み技術開発を加速させれば、中国や韓国にも対抗できる製品ができると思う」

「EVはとても選択肢が広いといわれる。モータを買ってきて鉛電池を積んで家族が乗れて動けばハッピーというEVもあれば、テスラのようにプレミアムがついて1800万もするものもある。ピンきりだが、やはり自動車メーカーが中核となって量産し、ちゃんとメンテナンスやチェックも含めた整備も整えなければならない。メーカーがリーダシップをとってEVの発展をけん引することが手堅いと思う」

大聖教授は、EVEXセミナーに登壇。7月14日の「自動車の電動化技術の将来」というテーマで1時間語られるという。

また、同期間パシフィコ横浜では「クリーン発電&スマートグリッドフェア(CSF)2010」を併催する。再生可能エネルギーを利用した発電システムや、地域、家庭、自動車をつなぐエネルギーネットワークの構築に必要なハードウェア、ソフトウェアに関する技術・製品を展示、低炭素社会の実現に向けた取組みを多角的に紹介する。EVEXとの共通企画展示も実施する。


●会期:2010年7月14日〜16日
●時間:10時00分〜17時00分
●会場:パシフィコ横浜 展示ホール・アネックスホール

電気自動車開発技術展2010
URL:www.evex.jp

クリーン発電&スマートグリッドフェア2010
URL:www.cs-f.jp
《大野雅人》

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