28日の参議院本会議で可決成立した「北朝鮮に出入りする船舶の貨物検査を可能にする特別措置法」(貨物検査法)が、1日の閣議で交付決定される。
貨物検査法は、国連加盟国による北朝鮮への制裁強化要請を実現するための法律だ。09年の北朝鮮によるミサイル発射と核実験の実施を受けて、国連安全保障理事会は06年から、さらに厳しい制裁決議を採択した。
公海上での外国籍船舶や、日本の領海を通過・寄港するが日本への輸出入貨物を持たない船舶への「貨物検査」が可能となる。公海上では海上保安庁、港湾や空港では税関が貨物検査を実施するもので、自衛隊が周辺事態船舶検査法に基づき実施する船舶検査とは別の検査だが、北朝鮮による一連の行為で発生した国際社会の平和と安全に対する脅威の除去を目的とすることは変わりがない。
この法律の施行で、公海上でも船舶の所属する国の同意があれば、船長の同意がなくても、海上保安庁が指示する港へ向かわせる「回航命令」を出すことができ、指定の港で日本または外国当局による北朝鮮特定貨物を検査することができる。
検査対象となる品目は、プルトニウムなどの核関連物資、化学製剤・細菌製剤などの生物化学兵器関連物資、ミサイル関連物資と、通常兵器などだが、今後、高級自動車など贅沢品も含めることが、国土交通省危機管理室などで検討されている。