ボブ・ラッツ氏、新興企業に再就職…「時代はまだ内燃機関」

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特許技術の「TSCi」を扱うトランソニック・コンバーション社に再就職
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5月1日をもって、GMを勇退したボブ・ラッツ氏。そのラッツ氏が早くも再就職先を見つけ、米国で話題となっている。

ボブ・ラッツ氏は、1932年スイス生まれで、現在78歳。1954 - 59年、米海兵隊に所属し、パイロットとして働いた。ラッツ氏の自動車業界でのキャリアは、63年、GMヨーロッパから始まる。71年にはBMWへ転職。そして74年、フォードモーターへ入社し、副会長にまで出世した。

ところが86年、ライバルのクライスラーグループへ電撃移籍。GMのシボレー『コルベット』に対抗できるスポーツカー、ダッジ『バイパー』や、レトロブームの火付け役となったクライスラー『PTクルーザー』の開発を主導した。

そして98年、クライスラーを去り、自動車業界から距離を置く。しかし2001年9月、今度は再びGMへ入社。シボレーやキャデラック・ブランドの再生で成果を上げた。

そんな米自動車業界のカリスマ、ラッツ氏だけに、GM退社後も引く手あまただったようだ。カリフォルニア州に本拠を置くトランソニック・コンバスチョン社は24日、「ラッツ氏を役員として迎え入れる」と発表した。

トランソニック・コンバスチョン社は、2006年に設立された新興企業。特許技術の「TSCi」と呼ばれる燃料噴射システムを、世界中の自動車メーカーに納入している。同社によると、TSCiは燃費性能を引き上げ、エミッションを減らすメリットがあるという。

新天地を得たラッツ氏、「もうしばらくは内燃機関の時代。ユーザーや自動車メーカーは、燃費や排出ガス性能を高める技術を求めており、トランソニック・コンバスチョン社のTSCiは、世界基準の燃料噴射システム」と、さっそくPRに努めている。

今後ラッツ氏は、自動車業界における幅広い人脈を生かして、トランソニック・コンバスチョン社の最高のセールスマンとして活躍することだろう。

《森脇稔》

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